B型肝炎給付金訴訟マニュアルでは、B型肝炎の給付金について知りたい方や、給付金訴訟を起こそうとしているかた向けに、B型肝炎の内容や症状などの基礎知識に加えて、給付金として受け取れる金額や給付金訴訟の手続き方法、そして、給付金訴訟が得意な弁護士の探し方などを相対的にご紹介していきます。

B型肝炎訴訟(びーがたかんえんそしょう)とは

B型肝炎訴訟とは、幼少期に受けた集団予防接種またはツベルクリン反応検査の際に、注射器または注射筒が連続使用されたことによってB型肝炎ウイルスに持続感染(一次感染)したとされる方々が、国に対して損害賠償を求めている訴訟のことです。
参考:B型肝炎とは|主な症状とB型肝炎になったら考えるべき事

初めてのB型肝炎訴訟は平成元年に5名の方が提訴された事案で、当時はこれらの方々に対して、平成18年の最高裁判決によって国の責任が確定し、損害賠償をお支払いしたのがはじまりになっています。その後、平成20年3月以降に先行訴訟と同様の状況として、700名以上の方々からB型肝炎の集団訴訟が提起されていたものの、国は平成22年5月に和解協議を開始し、平成23年6月に国と原告団・弁護団の間で「基本合意書」が成立、今後の救済に向けた認定要件や金額が合意されました。

この翌年の平成24年1月13日に「基本合意書」に基づいた和解が成立した方々に対して、国から給付金を支給することとする「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が施行され、今や空前のB型肝炎訴訟の幕開けとなっています。

B型肝炎訴訟の給付金とは

B型肝炎の給付金とは、B型肝炎ウィルスの感染経路が持続感染(母子から感染した一次感染)だった場合に、対象者は日本国政府から給付金が支給されるお金のことです。B型肝炎の給付金対象者は、自分はB型肝炎ウィルスにかかった感染者(対象者)である事を証明することで給付金の支払を得る事ができますが、裁判所に訴訟を起こした後、国と和解交渉をすることで初めてB型肝炎の給付金の支払をうけられるようになります。

集団予防接種で感染した人
(一次感染した人)
母子感染した人
(二次感染した人)
1941年7月~1988年1月の間に生まれた 母親が集団予防接種で
感染した人の条件を満たしている
満7歳までに予防接種や
ツベルクリン反応検査を受けた
結論
B型肝炎ウィルスに感染している B型肝炎ウィルスに感染している
予防接種等以外の感染原因は考えられない 母子感染以外の感染原因は考えられない

参考:B型肝炎給付金の支払い対象になる方の4つの条件

B型肝炎訴訟で受け取れる給付金額

集団予防接種等とB型肝炎ウイルス感染との因果関係が認められた原告の方に対しては、病態区分に応じてそれぞれ以下の給付金等が支払われます。

病態等 金額
死亡・肝がん・肝硬変(重度) 3,600万円
肝硬変(軽度) 2,500万円
慢性B型肝炎 1,250万円
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、現在も慢性肝炎の状態にある方等 300万円
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、現在は治癒している方 150万円
無症候性キャリア 600万円
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア(特定無症候性持続感染者) 50万円
  1. 訴訟等に係る弁護士費用(上記給付金額の4%に相当する額)
  2. 特定B型肝炎ウイルス感染者の検査費用
  3. 慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
  4. 母子感染防止のための医療費
  5. 世帯内感染防止のための医療費
  6. 定期検査手当
平成28年の法改正によって、発症後20年を経過した死亡・肝がん・肝硬変の患者等に対しても給付金が支給されます。

  • 死亡・肝がん・肝硬変(重度):900万円
  • 肝硬変(軽度):600万円
    • ただし、現にり患しておらず治療を受けたこともない者に対しては300万円

B型肝炎訴訟における検査費用は国に請求できる

2016.10.21

 

B型肝炎訴訟の手続きと流れ

B型肝炎の給付金たは持続感染の方が対象になりますので、集団予防接種等における注射器の連続使用が原因でB型肝炎に感染したことを証明・確認できる必要があります。この確認は、裁判所における司法手続(裁判所の仲介の下での和解協議)の中で、「基本合意書」に定めた救済要件に合致するかどうか、証拠に基づき判断されることになります。

B型肝炎訴訟に必要な書類

■持続感染(一次感染)の場合に必要な書類

B型肝炎ウイルスに持続感染している事の証明
  1. 6か月以上の間隔をあけた連続した2時点における、以下のいずれかの検査結果
    1. ・HBs抗原陽性
    2. ・HBV-=N:陽性
    3. ・HBe抗原陽性
  2. HBc抗体陽性(高力価)
満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることの証明 以下の①〜③のいずれか

  1. 母子健康手帳
  2. 予防接種台帳
  3. 母子健康手帳または予防接種台帳を提出できない場合
    1. ・事情を説明した陳述書(親、本人等が作成)
    2. ・接種痕が確認できる旨の医師の意見書
    3. ・住民票または戸籍の附票
集団予防接種等における注射器の連続使用があったことの証明
  • 「母子健康手帳」「予防接種台帳」を使用する場合
    • 母子健康手帳または予防接種台帳の記載により、昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に集団予防接種等を受けたことの確認
  • 「陳述書」および「接種痕意見書」等を使用する場合
    • 昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までの間に出生していることを確認。
母子感染でないことの証明 以下の①〜③のいずれか

  1. 母親のHBs抗原が陰性かつHBc抗体が陰性の検査結果
  2. 年長の兄弟のうち一人でも持続感染者でない者がいること(母親が死亡している場合に限る)
  3. その他|医学的知見を踏まえた個別判断により、母子感染によるものではないことが認められる場合には、母子感染でないことを推認します。
その他集団予防接種等以外の感染原因がないことの証明
  1. カルテ等の医療記録
    1. ※集団予防接種等とは異なる原因が存在する疑いがないことを確認するため
  2. 父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合
    1. 父親と原告の;型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査(HBV分子系統解析検査)結果
  3. 原告のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeではないことを証明する検査結果
    1. ※平成7年以前に持続感染が判明(初診)した場合には不要
    2. ※ ジェノタイプ検査は、成人期の感染ではないことを証明するため

■二次感染(一過性感染)の場合に必要な書類

原告の母親が一次感染者の要件を満たす事の証明 原告の母親が、一次感染者として認定される要件(前記参照)を全て満たしていることを証明する資料
当該原告が持続感染していることの証明 原告本人が;型肝炎ウイルスに持続感染していること(確認方法は一次感染者と同様)を証明する資料
母子感染であることの証明 ①または②の資料

  1. 原告が出生直後に既に;型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料
  2. 原告と母親の;型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査(HBV分子系統解析検査)結果
    ※ 上記①又は②の方法以外に、母子感染とは異なる原因の存在が確認されないことを立証する方法も認められています。

    1. そのための条件
      1. ・原告の出生前に母親の感染力が弱かったこと(HBe抗原が陰性であったこと)が確認されないこと
      2. ・原告が昭和60年12月31日以前に出生していること
      3. ・医療記録等に母子感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な記載がないこと
      4. ・父親が持続感染者でないか、又は父親が持続感染者の場合であっても、原告と父親の;型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されないこと
      5. ・原告の;型肝炎ウイルスがジェノタイプAeでないこと

参考:B型肝炎の給付金訴訟を行うために必要な書類は?

B型肝炎訴訟の解決までの流れ

B型肝炎の給付金を得るためには、必ず訴訟を起こす必要がありますので、訴状の作成や裁判所への出廷などの手間を考えると、弁護士に依頼するのが良いでしょう。国も非を認めていますし、弁護士費用を一定額(給付金額の約4%まで)負担してくれますので、費用も最小限で済みます。

1:弁護士への無料法律相談

B型肝炎訴訟が得意な弁護士が、あなたのの病状や現状を伺って、必要書類や手続きについてご説明いたします。

2:必要書類の収集

訴訟を進めるために必要な書類は弁護士がアドバイスをしますが、相談者自身が医療機関に対して請求する手間はありますが、弁護士からわかりやすく説明を受けられるはずです。

3:裁判所への提訴・和解

B型肝炎の給付金訴訟ができると判断した場合、弁護士が訴状を作成して裁判所に提出します。

4:給付金の請求・受取り

社会保険診療報酬支払基金に、給付を受けるための手続きをします。(和解調書や所定様式の請求書など、必要書類の提出)その後、給付金が支給されます。

B型肝炎訴訟にかかる費用

B型肝炎訴訟を起こして裁判で国と争う場合の費用としては「印紙代」「郵便切手代」「弁護士費用」「検査代」の4点が発生するとお考えいただければと思いますが、B型肝炎訴訟における費用としては10万円から20万円前後だと思って良いかと思います。

裁判所に支払う費用

B型肝炎訴訟は裁判所で行うため、収入印紙代と郵便切手代の2つの費用が発生します。

印紙代
病状 印紙代
死亡・肝がん・肝硬変(重度)(発症後20年未満) 13万4,000円
死亡・肝がん・肝硬変(重度)(発症後20年経過) 4万8,000円
肝硬変(軽度)(発症後20年未満) 9万8,000円
肝硬変(軽度)(発症後20年経過) 3万6,000円
肝硬変(軽度)(発症後20年未満) 2万1,000円
慢性B型肝炎(発症後20年未満) 5万9,000円
慢性B型肝炎(発症後20年経過) 2万1,000円
慢性B型肝炎(発症後20年経過・治療経験なし) 1万3,000円
無症候性キャリア(感染後20年未満) 3万6,000円
無症候性キャリア(感染後20年経過) 6,000円
郵便切手代

切手代は大体6,000円程度になります。

B型肝炎訴訟の弁護士費用

B型肝炎訴訟を起こす際の弁護士費用は『給付金の6~12%』に設定されています。

弁護士事務所の費用例
事務所名 B法律事務所 法律事務所A M法律事務所
弁護士費用 給付金の14%+5万円 給付金の14% 給付金の8%
裁判費用 自己負担 弁護士負担 自己負担
相談料 無料 無料 初回のみ無料
事務所名 S法律事務所 H法律事務所 A法律事務所
弁護士費用 給付金の6% 給付金の8% 給付金の8%
裁判費用 自己負担 自己負担 弁護士負担
相談料 初回のみ無料 無料 無料

※上記の金額は慢性肝炎/肝硬変/肝臓がん/死亡の金額です。

 

弁護士に相談してから和解までにかかる期間

弁護士に相談してから和解までにかかる期間は、おおよそ半年~1年と言われています。また、和解成立した後、2~3か月後に給付金の支払いが行われます。また、B型肝炎の請求期限が近づくにつれ、B型肝炎訴訟を起こす人が増えることが予想されます。

混雑すれば当然弁護士の手が回らないことや、国も審議が追い付かないといった理由から、期間は長引くことになる可能性が十分ありますので、早めの行動が大切でしょう。

B型肝炎の訴訟期限

B型肝炎訴訟の期限
平成34年1月12日まで

B型肝炎給付金訴訟の期限と給付金が請求出来る期間

2016.09.15

追加給付金期限

請求期限は『肝炎の病態が進行が発覚した日から3年以内』ですが、平成29年1月12日以降でも追加給付金を受給することができます。

定期検査費用の期限

除斥期間が経過した無症候性キャリアであった場合、費用の請求期限は『検査を実施した日から5年以内』です。