著作権侵害の違反事例と罰則 | 著作権侵害の対策をする方法

著作権侵害(ちょさくけんしんがい)とは、著作権法で保護されている著作物を正当な権限を持たない第三者が不正に利用する行為であり、もしこれを侵害した場合は民事請求として損害賠償を請求されたり、罰金や禁固刑などの罰則に処される危険があるものです。

著作権法第百十九条
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用元:著作権法

最近の話題でいえば「オリンピックロゴのパクリ問題」などで著作権に関する関心が高まっていたと言えますが、どういった行為が著作権の侵害になるのか、もし著作権侵害をしてしまった場合はどういった罰則があるのかなどをご紹介するとともに、知らずに著作権侵害をしてしまわないように、どういった対策が取れるのかを解説していきます。

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実際にあった著作権法違反・侵害の事例

ソフトウェアのデータベースを無断で改変|罰金50万円の判決

被告Kは同社の代表取締役であった被告(反訴原告)Y1、及び同社の代表取締役である被告Y2に対し、損害賠償等として、3687万2000円及びこれに対する遅延損害金を連帯して支払うよう求めたが、原告において、本件新聞記事及び本件ビラ等に掲載された事実が真実であると信ずるについて相当の理由があったとはいえないなどとして、原告に対する請求を33万円及び遅延損害金の限度で認容した事例

  1. 30万円及びこれに対する平成16年12月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2. 原告は33万円及びこれに対する平成22年10月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

裁判年月日 平成24年 1月31日
裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平20(ワ)20337号 ・ 平20(ワ)29362号
事件名 損害賠償請求、謝罪広告掲載等反訴請求事件
裁判結果 本訴請求一部認容、反訴請求一部認容
引用:文献番号 2012WLJPCA01319018

ファイル共有ソフト関係

P2Pファイル共有ソフトWinMXを使用|100万円の損害賠償金

P2Pファイル共有ソフトWinMXを使って著作権を侵害した800を超える音楽ファイルをアップロードした2名が、今後二度と同様の権利侵害をしない旨の誓約書を提出し、それぞれ約100万円の損害賠償金を支払うことで著作権管理団体と和解成立。(2009年9月)

総額5,381,280円の損害賠償金および遅延損害金の支払い

P2Pファイル共有ソフトWinMXを使って著作権を侵害した音楽ファイルをアップロードした男性に対し、総額5,381,280円の損害賠償金および遅延損害金の支払いを命じる判決。(2010年7月)

著作権法違反行為で150万円の賠償請求

ファイル共有ソフトを開発し、自己のホームページ上で公開して提供した行為が、著作権法違反行為の幇助犯を構成するとされた事例。被告人を罰金150万円に処された。

裁判年月日 平成18年12月13日 裁判所名 京都地裁 裁判区分 判決
事件番号 平16(わ)726号
事件名 著作権法違反幇助被告事件 〔ウィニー著作権法違反幇助事件・第一審〕
裁判結果 有罪 上訴等 控訴(第一審破棄、無罪)
文献番号 2006WLJPCA12130006

YouTubeなどの動画・音楽関係

YouTubeなどで逮捕されるケースはそう多くはないのですが、内容が著作権侵害のものよりも、別の事件として立件、逮捕されることが多いうようです。

違法な音楽配信で懲役1年・執行猶予2年の判決

著作権を侵害した多数の音楽ファイルを海外のストレージサイトにアップロードして開設したサイト「曲貼り精鋭達のたまり場」で違法な音楽配信を行っていた男性が逮捕。

著作権侵害以外で逮捕されたケース

  1. 小学6年生の男児が、中学3年生の男子生徒に暴行される映像を公開
    ▶︎傷害などの容疑で逮捕。
  2. コンビニで客が店員を土下座させ、商品のタバコを脅し取る様子を公開
    ▶︎恐喝の容疑で逮捕。
  3. 大手スーパーでパンの袋を破る、スナック菓子に爪楊枝を混入し、万引きする動画も投稿
    ▶︎偽計業務妨害容疑と建造物侵入の容疑で逮捕。

YouTuberに1500万円の損害賠償

YouTuberとして著名なMichelleさんを訴えたのはUltra Records。自レーベルに所属するKaskade、deadmau5、Calvin Harrisといったミュージシャンの楽曲約50曲をMichelleさんが無断でムービーやウェブサイト内で使用している、として訴訟を起こしました。裁判所文章によると、Ultra Recordsは「Michelleさんが自身のコンテンツにUltra Recordsの楽曲を組み込むことで利益を得ている」と主張しているようです。

また、YouTube上で非常に人気があり注目度の高いMichelleさんが音楽を無断で使うのは「大規模かつ耐え難い損害」であるとしており、著作権侵害による8万8000ポンド(約1500万円)の損害賠償も請求、さらにMichelleさんが自レーベルの楽曲を使用することに対する差止命令も要求しているとのことです。
引用:人気YouTuberが著作権違反で約1500万円の損害賠償を請求される

カラオケ音源を用いて歌唱を行っている様子をYouTubeで動画配信した行為が送信可能化権の侵害に当たると主張してその差止め及び電磁的記録の消去を求めた事案。

主文
1 被告は,別紙動画目録記載の動画を送信可能化してはならない。
2 被告は,別紙動画目録記載の動画の電磁的記録を,同記録が入力されている被告の占有に係るハードディスクその他の記録媒体から消去せよ。

裁判年月日 平成28年12月20日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平28(ワ)34083号
事件名 著作隣接権侵害差止等請求事件
文献番号 2016WLJPCA12209002

 

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著作権侵害による民事上の請求と刑事上の罰則

何気なく誰もが犯している可能性の高い著作権の侵害ですが、甘く見てはいけません。著作権法や民法には、権利侵害について対抗措置や罰則が定められています。

「たかが著作権」と気軽に構えていると、大変な事態となる可能性があります。著作権を侵害した場合、民事上と刑事上の2つの罰則が課せられる事になります。

民事上の請求の例
差止請求 損害賠償請求
不当利得の返還請求 名誉回復などの措置の請求
刑事上の罰則の例
内容 懲役 罰金 親告罪
著作権等の侵害 3年以下 300万円以下
(法人は1億円以下)
自動複製機器の提供 300万円以下
死後の人格的利益の侵害 300万円以下 非親告罪
無断複製物などを頒布目的で輸入 5年以下 500万円以下
著作物とは?
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(2条1項1号)」と定義されており、以下のようなものが該当する。

  • 「思想又は感情」
  • 「創作的」
  • 「表現したもの」
  • 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

短くありふれた表現や選択の幅が狭い表現などは、創作性が認められない傾向にあります。

また、著作権を侵害している代表的な行為としては、以下のようなものがあります。

  • 既存キャラクターのイラストや写真の無断転載
  • インターネットサイト上の文章や写真のコピーや転載
  • 音楽や歌詞、CDジャケットなどの無許可なコピー
  • 楽曲のコピー演奏の公開
  • ファイル共有ソフトによる海賊版のダウンロード
  • 著作権侵害物の輸入(輸出)または広く頒布(頒布) など

民事上の請求とは?

著作権の権利者は、次の4点について著作権の侵害者に対して請求を行うことができます。これらはどれか1つという事ではなく、理由さえあればすべてを請求することも可能です。

著作権の権利侵害があった場合、権利者は侵害者に対して以下のような請求をすることができます。

  • 侵害行為の差止請求
  • 損害賠償の請求
  • 不当利得の返還請求
  • 名誉回復などの措置の請求

当事者間で争いがある場合には、最終的には裁判所に訴えて実現してもらうことになります。

差止請求:著作権法112条

権利者は権利を侵害した者や、侵害の可能性がある者に対して差止請求をすることができます。具体例でいうと、無許諾のイラストを使用した本を出版した場合、その本を回収させる為の請求です。

損害賠償請求:民法709条および著作権法114条

具体的な損害賠償額が立証してなくても、侵害者によって利益が生まれていた場合、その利益を推定し、その侵害物がなかった場合に権利者が得られた利益分を請求することができるとされています。

不当利得返還請求:民法703条・704条

著作権の侵害者が侵害した著作物で利益を得ていた場合、その利益を返還するよう請求することができます。返還額は、著作権侵害を知らなかった場合には「利益が残っている範囲」、知っていた場合は「すべての利益に利息を追加した額」とされています。

名誉回復等の措置請求:著作権法115条・116条

著作者または実演家は、故意または過失がある侵害者に名誉や声望を回復するための措置を請求できます。法人の場合は新聞に謝罪広告を掲載するなど。

刑事上の罰則とは?

著作権侵害はれっきとした犯罪行為であり、著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます。また、民事だけではなく、権利者が告訴すること(親告罪)で犯罪として罰則が科せられる場合があります。

  • 著作権、出版権、著作隣接権の侵害:10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
  • 著作者人格権、実演家人格権の侵害:5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

また、法人などが著作権等(著作者人格権を除く)を侵害した場合は、3億円以下の罰金となります。

無断でアップロードされていることを知っていて、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられることになりました。

懲役刑または罰金刑:119条

10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはその両方。

法人の場合は両罰規定:124条

法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、本人と当該法人にも3億円以下の罰金に処せられる。懲役刑や罰金刑が科されるのは、著作権を故意に侵害した場合で、過失によって著作権を侵害してしまった場合には刑事罰は科されません。(刑法38条1項)

その他の侵害

刑罰 懲役 罰金
特許権侵害 5年以下 500万円以下(法人は1億5千万円以下)
実用新案法侵害 3年以下 300万円以下(法人は1億円以下)
意匠法侵害 3年以下 300万円以下(法人は1億円以下)
商標法侵害 5年以下 500万円以下(法人は1億5千万円以下)

なお、「懲役刑」と「罰金刑」は併科することができます。

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著作権侵害になるケースとならないケース

著作権の侵害に当たるとして、警察庁が「商標権侵害」「著作権侵害」として検挙した件数はここ5年で約2倍に増加しています。その中の内訳はやはりインターネット上の不正利用や偽ブランド品の売買などが多くを占めています。
出典:平成26年中における知的財産権侵害事犯の概要

表1:不正商品別検挙事件数の推移

種別 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
商標法違反
(偽ブランド事犯等)
218 236 260 241 247
著作権法違反
(海賊版事犯等)
162 194 196 240 270
そ の 他 18 20 54 43 57
合   計 398 450 510 524 574

表2:インターネット利用事犯の検挙事件数の推移

種    別 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
商標法違反
(偽ブランド事犯等)
114 141 161 158 174
著作権法違反
(海賊版事犯等)
126 164 160 209 224
そ の 他 1 0 16 16 23
合   計 241 305 337 383 421

表3:知的財産侵害品の押収状況の推移(単位:点数)

種    別 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
偽ブランド品 141,205 213,203 117,143 104,776 118,464


ビデオ・DVD等 69,726 181,088 373,664 576,075 290,659
ソフト 3,233 13,062 1,728 3,278 1,592
CD等 998 1,706 1,961 5,837 16,127
キャラクター商品 3,061 1,958 16,611 13,482 3,092
合     計 77,018 197,814 393,964 598,672 311,470

著作権法による保護の対象|著作物として認められるもの

何が著作権侵害になるのかを正確に判断するには、まず著作物が何を指すのかを知る必要があります。

著作権法第十条:著作物

  • 一 :小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
  • 二 :音楽の著作物
  • 三 :舞踊又は無言劇の著作物
  • 四 :絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
  • 五 :建築の著作物
  • 六 :地図又は学術的な性質を有する図面、模型その他の図形の著作物
  • 七 :映画の著作物
  • 八 :写真の著作物
  • 九 :プログラムの著作物
著作者人格権 公表権
氏名表示権
同一性保持権
財産権 複製権 頒布権
上演権・演奏権・上映権 譲渡権
公衆送信権・公の伝達権 貸与権
口述権 翻訳権・翻案権など
展示権 二次的著作物の利用権

参考:公益社団法人著作権情報センター|著作権法

著作権侵害が成立するには、無断で利用された著作物の著作権が有効に存続している必要があります。著作物が利用されていても、何らかの事由によって著作権が原始的に発生していない場合、あるいは著作者が死亡してから50年以上経過していて、既に著作権が消滅している場合は、著作権侵害が成立しない。

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著作権侵害に該当する行為

(侵害とみなす行為)
第百十三条  次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一  国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
二  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布し、頒布の目的をもつて所持し、若しくは頒布する旨の申出をし、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為
2  プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によつて作成された複製物(当該複製物の所有者によつて第四十七条の三第一項の規定により作成された複製物並びに前項第一号の輸入に係るプログラムの著作物の複製物及び当該複製物の所有者によつて同条第一項の規定により作成された複製物を含む。)を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知つていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。
3  次に掲げる行為は、当該権利管理情報に係る著作者人格権、著作権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一  権利管理情報として虚偽の情報を故意に付加する行為
二  権利管理情報を故意に除去し、又は改変する行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による場合その他の著作物又は実演等の利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる場合を除く。)
三  前二号の行為が行われた著作物若しくは実演等の複製物を、情を知つて、頒布し、若しくは頒布の目的をもつて輸入し、若しくは所持し、又は当該著作物若しくは実演等を情を知つて公衆送信し、若しくは送信可能化する行為

引用元:著作権法第103条

著作者の許可を得ずに著作物を無断で使用する

  • ディズニーなどのキャラクター、イラストや写真。
  • 本や雑誌、インターネットサイト等で芸能人や著名人の画像の転載
  • 音楽や歌詞、CDジャケットを許可なくコピー
  • 私的に撮ったビデオの販売
  • メディアに他のサイトからの文章をコピーする行為 など

著作物の無断改変

  • 無断コピーした画像に手を加えて公開する行為
  • 小説や漫画を無断で改変しインターネット上のサイトに載せる
  • 既存するイラストなどを無断で模写または改変

無断複写したものを配布する行為

  • 無断コピーした画像やイラスト知人に送信する行為
  • 素材サイトなどの画像を再配布する行為
  • Youtubeなどにドラマやアニメをアップロードするまたは視聴
  • 既存の音楽をアレンジする行為(※ただし親告罪扱い)

これらの行為を行うことで著作権法違反となり、著作者本人より通告/告訴を受ける場合があります。また、注意したいのが商用OKのフリー画像サイトなどの素材を使ったのに、著作権侵害とされたケースもあるという事です。

フリー画像サイトの写真を使ったブログ記事が著作権侵害で検索結果から削除された
フリー画像サイトからダウンロードした写真をアイキャッチに使ったブログ記事が著作権の侵害を理由に検索結果から削除されてしまいました。ブログをやっていると記事や画像をパクられてDMCAに申し立てをする話はよく聞くのですが、申し立てを受けたのは初めてです。
引用:http://digital-cat.com/site-management/blog-free-photo-copyright-infringement/

ちなみに、動画サイトでよく見られる既存楽曲のアレンジですが、あれも完全なる著作権の侵害です。しかし、著作権侵害でも親告罪というものになり、少々扱いが変わってきますので、詳しくは後述の「親告罪」をご覧ください。

著作権の侵害とはならないケース

思想や感情・創作的でないものは著作物侵害にならない

冒頭でもお伝えしましたが、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を著作物(著作権で守られるもの)としています。

つまり、

  • 「思想や感情」
  • 「創作的でないもの」
  • 「表現的でないもの」
  • 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

これらに該当しないものであれば、仮に知らずに利用していても著作権侵害は成立しないということになります。例えば、他人が考えたゲームやルール、特許などは「思想」に含まれる為、無断で使用しても著作権の侵害にはなりません。

特許の侵害は著作権の侵害ではないの?
鋭い指摘ですが、特許権は知的財産権の一部であり、その種類は様々で、「デザインに関する意匠権や商標権」「新しい技術に関する実用新案件」などがあります。つまり、特許の侵害は著作権侵害ではなく、特許権の侵害になるということです。

YouTubeなどにアレンジした楽曲を投稿する行為

厳密にいえば、ニコニコ動画やYouTubeに投稿される「歌ってみた」「演奏してみた」も、著作権がある楽曲については著作権上の「演奏権」や「上演権」の侵害にあたります。しかし、「JASRACと利用許諾契約を締結しているUGCサービスサイト」であれば、動画の投稿者が許諾を得なくても、JASRAC管理楽曲を含む動画をアップロードすることができ著作権の侵害には該当しないとされています。

利用許諾契約を交わしていないサイトにアップロードした場合は、罰則などが課せられますが、「親告罪」でもあるため、著作者本人が訴えない限りは取り締まることが出来ないといった規定もあります。詳しくは前述の「親告罪があるものは著作権者の判断に委ねられる」をご覧ください。

JASRACも全てを管理しているわけではない
JASRACが楽曲を管理しているといっても、すべての楽曲を管理しきれているわけでは無い事には注意が必要です。たとえばインディーズやボーカロイドなどは、JASRACが関与していない可能性が高いので、そういったものをアップするときは注意が必要です。

違法動画などにリンクを貼って誘導する行為

Xが自身が上半身裸でマクドナルドに入店する様子等を撮影してニコニコ生放送でライブ配信をしたところ、何者かがこのライブ配信を録画してニコニコ動画にアップロードした。さらに、ニュースサイトのロケットニュースがこの動画に関する記事を掲載するとともに、動画にリンクを貼った。Xがロケットニュースの運営会社であるYに対して、損害賠償等を求める訴訟を提起した。
引用:違法動画等にリンクを貼ると著作権侵害になる?ならない?

他のHP等にリンクを貼る行為に関して、経済産業省の「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」では、「リンクを貼ってもデータを送信するのはリンク元である為、一般的にリンクを貼る行為自体は著作権の侵害にならない」とされています。

EU司法裁判所では、著作権者が無償での一般公開を認めたコンテンツへのハイパーリンクや埋め込みについては著作権侵害にあたらないとの判断が示されていた。一方、著作権者が公開を認めていないコンテンツへのリンクに関して判断が求められるのは初めてのことになる。

EU法務官は誰もがアクセス可能な場所で公開されているコンテンツへのハイパーリンクは公衆送信に該当しないとの見解を示し、ハイパーリンクを張った人物がリンク先のコンテンツが著作権者の許諾を得ずに公開されたことを知っているかどうかは重要ではないとしている。つまり、GeenStijlの記事は著作権侵害に該当しないことになる。
参考:著作権侵害コンテンツにリンクを張る行為は著作権侵害にあたらないとの見解

無断アップロードされた動画へのリンクも同様

第三者による著作権侵害を幇助したものでもなく、故意又は過失があったともいえないから、不法行為は成立しないという裁判での判例がでたため、「無断でアップロードされている動画にリンクを貼ったとしても、それが明らかではない場合はすぐに違法とはならず、著作権者から抗議を受け、初めて侵害だと認識できた時点でリンクを削除すれば、著作権侵害とはならない。」と判断できます。

判断が微妙あるいは意見が別れるもの

よくあるのがインターネット上のメディアに掲載される記事ですが、著作権者の承諾が得られているのであれば問題ありません。また、「ITメディア」に「ねとらぼ」からの転載があるのは、運営元が一緒であるため、これも問題ないと思われます。問題なのは「著作権法上の引用(32条1項)の要件を備えているか否か」です。

引用の要件を満たせばパクリではない?

「引用」は著作権法上で「著作権法違反ではない」と明記されている行為のため、「引用」の要件さえ満たしていれば著作権者の許諾を得なくとも「パクリ」ではないということになります。引用とは下記のように、別のところから一文を抜粋して表記させる行為です。

引用とは、広義には、他人の著作を自己の作品のなかで紹介する行為、先人の芸術作品やその要素を自己の作品に取り入れること。報道や批評、研究などの目的で、自らの著作物に他の著作物の一部を採録したりする行為。
出典:引用

ただ、この解釈も人によって判断が別れる場合も多いため、万が一著作権の侵害として連絡をもらった場合は双方の納得のいく解決を模索するか、弁護士への相談を検討し、法律的な見地からご判断された方が良いかとは思います。

親告罪があるものは著作権者の判断に委ねられる

冒頭、「刑事上の罰則の例」でもあった【親告罪】について話しておきます。

親告罪とは?

告訴がなければ公訴することができない犯罪のことを言います。先ほどの楽曲アレンジが良い例ですが、著作権の所在は大元の製作者に委ねられるもの、製作者が何も言わなければ著作権の侵害にはなりません。この場合は管理しているJASRACですね。

特にゲーム音楽の著作権などは複雑で、制作元や販売元にも著作権があり、作曲者にのみあるわけではありません。(著作隣接権)作曲者本人に確認を取ってOKをもらったところで全く意味はないので、軽はずみな行動をとると罰則があたえられる可能性もあります。

親告罪となる16の例
①信書開披罪
(刑法133条、135条)
⑨略取誘拐罪
(刑法224条、225条、229条)
②秘密漏泄罪
(刑法134条、135条)
⑩略取幇助罪
(刑法227条、229条)
③強制わいせつ罪
(刑法176条、180条)
⑪同未遂罪
(刑法228条、229条)
④準強制わいせつ罪
(刑法178条、180条)
⑫名誉毀損罪
(刑法230条、232条)
⑤強姦罪
(刑法177条、180条)
⑬侮辱罪
(刑法231条、232条)
⑥準強姦罪
(刑法178条、180条)
⑭私用文書毀棄罪
(刑法259条、264条)
⑦強姦未遂罪
(刑法179条、180条)
⑮器物損壊罪
(刑法261条、264条)
⑧過失傷害罪
(刑法209条1項、同2項)
⑯信書隠匿罪
(刑法263条、264条)

怖いのは非親告罪

親告罪を語る上で避けて通れないのは「非親告罪」と呼ばれるものです。

日本の著作権法における著作権侵害の処罰を親告罪ではなくすること。つまり、著作権侵害事件を被害者(著作権者等)の告訴を経ることなく公訴を提起できるようにするということを指す。
参考:日本の著作権法における非親告罪化

先ほどの楽曲アレンジのように、親告罪扱いでも、第三者による告発や警察が独自の判断で捜査して、現行犯逮捕するのは非親告罪と同様であり、告訴を強制捜査後に受理する可能性もあることを示しています。

たとえば、

  • 海賊版DVDの大量生産
  • 公開前の映画をネットでダウンロードする など

客観的にみて権利損害が明らかであり、速やかな停止が必要とされる場合は非親告罪化することは大いに意味のある行為だと思いますが、個人的な意見を述べるなら、こういったケースと、コミケでのパロディ作品の販売等を同列に捉えるのは、かなり問題なのではと、思うところですが・・・

冬の「コミックマーケット(コミケ)」が29日に開幕します。コミケは日本最大の同人誌即売会ですが、その関係者にはある懸念がありました。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で合意された「著作権侵害の非親告罪化」です。TPPで著作権侵害の一部を非親告罪とすることで合意したことを受け、国内の著作権法改正の検討が進んでいます。そのなかで注目を集めるのが、同人誌などに代表される“2次創作”の取り扱いなのです。

〜中略〜

この合意を受け、11月に開かれた小委員会では、「非親告罪の範囲に、コミケなどの2次創作まで入れるのは行き過ぎだというエッセンスについては概ねコンセンサスがあるのではないか」との意見が委員から出されました。その結果、「2次創作は非親告罪の対象外」との方向で進む見通しとなったのです。

対象外としたのは、いまやクールジャパンの代名詞でもあるアニメ・漫画文化の発展を支える2次創作について、萎縮させない配慮をした結果です。
参考:コミケは本当に大丈夫? TPPの著作権侵害の非親告罪化

 

気がつかず著作権侵害をしてしまわない為の対策

許諾の確認や規約をよく読む

市販の素材集やインターネットに素材を利用するなら、権利者による許諾の必要がない旨を記載されている事の確認や、規約をよく読んでから利用すると言った事が考えられますね。

法人ならきちんと契約書を作成すること

契約に際し、知りえた情報の契約目的以外での使用禁止、守秘義務に関する条項などを入れておくことが望ましいと言えます。ソフトウェア開発など、著作物の製作を外部に委託する場合などは特に意識しておくと良いかと思います。

ネットの情報を利用するなら必ず「引用」し引用元を明かす

「引用」の項目でもお話ししましたが、インターネット上の画像や文章を利用する場合、必ずどこから引用したのかを明確にしておきましょう。必ずしもリンクを貼らなくてはいけないという決まりはありませんが、ネットマナーとしてはリンクを貼るのが通例です。

軽はずみにネットに動画をアップしない

今回の内容で、YouTubeなどに投稿されている内容の8割が実は違法である事が、なんとなくでもおわかりいただけたかと思います。これから自分が動画や画像などをアップする場合は、必ず問題がないか考えておく必要があります。

フェイスブックに大勢が映った写真を勝手にアップするのも「肖像権」の侵害にあたりますので、事前にアップしていいかの確認をする事も大事です。

もし著作権侵害で訴えられてしまった場合

故意に侵害したわけではなく、過失であった場合の対策としては、以下のようなものが考えられます。

早急に謝罪を入れて和解する

もし内容がそれほど大きな問題ではない場合、早急に権利者に謝罪をして、和解にしていただくのが穏便な解決方法です。著作権侵害に該当した部分の削除、あるいは相手方が望む形で対応し、誠心誠意対応すれば、お許しを頂ける可能性があります。

示談金を支払う

なんらかの不利益や金銭的な損害を与えてしまった場合、相当分の示談金を支払う可能性が出てきます。故意にやったわけではないとは言え、権利を侵害していたのは確かですから、できるだけ早い段階で示談にするのが良いでしょう。

訴えられて裁判になっている場合

相手が一歩も引かない場合や、すでに被告として訴えられている場合は、早急に弁護士に相談しましょう。刑事事件であなたを守れるのは弁護士しかいませんので、「刑事事件を得意とする弁護士」に相談される事をお勧めします。

 

まとめ

著作権の侵害は以外と身近に溢れかえっている事がお分かりいただけたかと思います。くれぐれも法律は守り、訴えられるこのないよう、気をつけていただければと思います。

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