ワンクリック詐欺(わんくりっくさぎ)とは、インターネットサイトにアクセスしたユーザーにありもしない請求を押しかけることで、金銭をむしり取るネット詐欺の1つです。
そもそも詐欺ですから、金銭を支払う必要はないのですが、もしもワンクリック詐欺による請求画面を見かけたらどのような対処ができるでしょうか。
この記事では、①ワンクリック詐欺の概要と対処方法、②被害に遭いそうなときにしてはいけないこと、③相談先についてご紹介いたします。
ワンクリック詐欺を含むネット詐欺の現状
多くの人がスマートフォンやPCを持つようになり、あまりネットに詳しくない人でもネットの世界に足を踏み入れる機会が増えました。どのような人がネット詐欺の悩みを持っているのでしょうか。
アダルトサイト関係のネット詐欺に悩んでいる人は女性も多い
以下のデータは独立行政法人国民生活センターが公表する「全国の消費生活センターに寄せられたアダルトサイトに関する世代別の相談件数」です。
どの世代も相談している人は男性のほうが多いことがわかり、また女性でも20~40代の間ではネット詐欺について悩んでいる人がそれなりにいるようです。
近年ではスマートフォンでの被害が増加している
スマートフォンの普及率は上がり2015年では世帯ごとの所有率が95%を越えています。
このようなスマホ普及率の高さと比例し、アダルトサイトに関する相談全体におけるスマートフォンでアクセスしたひとの相談が増えてきています。2015年では合計の相談件数のうちスマートフォンの使用中におけるトラブルが半数を占めるようになりました。
スマートフォンの普及率が上がっていっていることを考えると今後もますますネット詐欺に関して悩む人が増えていくと考えられます。
ワンクリック詐欺でよく行われる3つの手口
ワンクリック詐欺はPCやスマホなどの端末画面に請求画面を表示し高額な請求をしてくるネット詐欺の一種です。
アダルトサイトや出会い系サイトなど「大人向けのサイト」の閲覧者が対象となりやすいのですが、ワンクリック詐欺にはどんな特徴があるのでしょうか。
ありもしない料金を請求してくる
アダルトサイトや出会い系サイトにアクセスしたり、サイト内に貼られているリンクをクリックすると下のような請求画面が出てくることがあります。会員登録料だとかサービス利用料などという名目上「料金」を騙ってお金を奪ろうとしてきます。
検索結果からアクセスした場合だけでなく、メールやSNSに記載されているURLから誘導してくることもあるのです。
消費者の逃げ道(らしきもの)をあえて用意している
請求画面が表示された時点ではまだ業者はあなたの個人情報といえるようなものを入手できていません。したがって向こうとしても個人情報を手に入れるために消費者の行動を誘導してきます。
請求画面によっては「誤操作で登録してしまった人はこちら」だとか「退会手続き」などという表示がなされています。消費者側からしてみればなんとか意味不明な事態から抜け出したい思いですから、その指示に従い連絡をしてしまう人もいるのです。
このような表示は自分たち(業者)に連絡してもらいための罠であり、本人確認と称して氏名や連絡先を業者に伝えてしまうように誘っているのです。
ワンクリックウェアをダウンロードさせられる
サイト利用者の意思とは関係なく「ワンクリックウェア」という不当請求を行う悪質なプログラムをダウンロードおよびインストールさせようとします。このワンクリックウェアは国内特有のものであることもあり、インストールまで許してしまうと通常のセキュリティソフトでは対処できない事が多いです。
感染すると請求画面が端末上に現れ、請求画面でかたまったまま操作ができなくなったり、あるいは消しても消しても定期的に表示されるという状況に陥ります。
架空請求業者に対する対策|ワンクリック詐欺に対しやってはいけないこと
悪質な架空請求をしてくる相手にできる対策は「無視をする」ことです。
まるであなたがどこの誰であるかを特定しているかのように端末の情報を表示してくることもありますが、その情報からあなたを特定することはできませんし、「消費者」の意思に反して勝手に契約を結んだと言い張っても無効な契約ですので支払いに応じる必要はないのです。
請求画面上の「連絡先」を信用したらダメ
請求画面には相談窓口先として連絡先が書いてあることがありますが、それは罠です。本当に(被害)相談をしたいのであれば消費生活センターなどにいきましょう。
最新のセキュリティソフトをいれておく&ワンクリックウェア駆除ツールを使用する
お使いの端末がワンクリックウェアに感染してしまうとノートンのウイルスバスターなどのセキュリティソフトでもどうにもならなくなりますが、その前に検知することならできます。常に最新バージョンにしておきましょう。
またワンクリックウェアの侵入を許してしまっても、ワンクリックウェア駆除ツールという名前でPC内のワンクリックウェアを消してくれるツールがあります。
今は平気でも万が一のためにチェックしておくことをオススメします。
ワンクリック詐欺を基本的に無視して良い理由と法的な根拠
なぜ無視をしていいのか、それには法的な根拠があります。
契約は申込みと承諾により成立するところ、ワンクリック詐欺の請求の場合、当該申込と承諾が成立していない場合がほとんどと思われます。
また、仮に申込みと承諾が合致していても、有料サービスであることを知らなかったとか、料金が高額であることを知らなかったとか、サービス内容を知らなかったといった錯誤による無効主張が可能な場合がほとんどです(電子取引については、電子消費者契約法第3条で錯誤要件が緩和されています)。
要するに、事前にサービスの内容や対価の説明もない状態で単にクリックしただけでは契約は成立しません。
スマホで請求画面が消せない時の対処法
PCがワンクリックウエアに感染し請求画面が消せない、ということについて前述させていただきましたが、スマートフォンの使用でも似たような状況が発生します。現れた請求画面を何度消しても再び出現し、端末をまともに使用できないようにする嫌がらせのようなテイストです。
スマートフォンの場合はブラウザの履歴を消去してしまえば再度表示されることがなくなるので、IOSであれば「設定」から使用しているブラウザ(Safari)を選択し、「履歴を消去」で消せます。
Androidであれば設定からブラウザアプリを選択して「強制停止」しましょう。
ワンクリック詐欺にあってしまった場合
ワンクリック詐欺の被害に遭った場合には消費生活センターや警察に相談しましょう。
消費生活センターに相談
全国には消費生活センターという消費活動におけるトラブル相談を受け付けている組織があります。
「これって詐欺?」といまいち判断がつかない場合や、ご自身が遭遇した詐欺を周知させるためにも利用してみるのもいいかもしれません。
警察に相談
相手のしていることは詐欺ですから理屈の上では支払をした金銭分の返還は可能です。
しかし相手も身元を特定されないように動いているので時間が経ってしまってからは厳しくなります。少しでも早く警察に連絡をし、そして口座を凍結しましょう。
まとめ
最後に今回の記事のポイントをまとめさせていただきます。
- ワンクリック詐欺で請求画面の表示がなされても無視。
- 支払に応じたり、業者や業者が提示する連絡先に連絡してはいけない。
- ワンクリックウェアには感染しないことが第一だけれど、万が一の場合はワンクリックウェア駆除ツールを使用する。
- スマホの場合は履歴の消去(IOS)やブラウザの強制停止(Android)をする。
お読み頂きありがとうございました。