ワンクリック詐欺は、ボタンをクリックしただけで、登録していない有料サイトの請求画面が表示される類の詐欺です。ワンクリック詐欺に遭遇した方の中には、「登録を解除しなければ」と思うあまり、誤って詐欺業者へ電話してしまった方もいるでしょう。
電話してしまったことで、詐欺業者へどこまでの個人情報が特定されてしまうのかは気になるところです。そこで当記事では、ワンクリック詐欺で電話をしてしまった場合に、個人情報がどこまで特定されるのか、また電話をしてしまった場合の対処方法について説明していきます。
ワンクリック詐欺の業者へ電話してしまった場合にどこまで個人情報が特定されるのか
早速ですが、ワンクリック詐欺に遭遇した方が業者へ電話してしまった場合に、業者が特定できる個人情報について確認していきましょう。
一般的に業者側が把握している情報
まず、業者に電話してしまった場合、電話番号は業者へ知られると思ってください。請求画面に表示されている電話番号の頭文字には186がついているためです。また、電話をすると、業者側の人物は以下の情報を把握していることを主張してくるでしょう。
- IPアドレス
- リモートホスト
- プロバイダ情報
- GPS機能から読み取った位置情報
- OS・ブラウザのバージョン
しかし、上記の情報は、ご利用のスマートフォンやPCに関する情報であり、個人情報を特定できる情報ではありません。
電話番号から個人情報を特定することはできるのか
では、電話番号から個人情報を特定することはできないのでしょうか。もし、電話番号を元に相手の個人情報を調べるためには、電話会社へ個人情報を開示してもらわなければなりません。しかし、個人情報の管理は厳格に行われているため、裁判所を介して電話会社へ情報開示請求を申し立てる必要があります。
申立の内容が、法的に正当性があることを示さなければ、開示請求は適用されないので、電話番号を教えても、個人情報が特定されないと思っていいでしょう。
個人情報が知られるケース
しかし、詐欺サイトが指定した通りに、個人情報を入力した場合、入力した情報に関しては相手側に知られてしまいます。また、ワンクリック詐欺には、アプリやソフトをダウンロードさせる類のものもあり、アプリやソフトをダウンロードした方は、ウイルスを経由して個人情報が漏えいしているかもしれません。
ワンクリック詐欺へ電話してしまった場合の業者側の対応
続いて、誤って電話をしてしまった場合の、業者側の対応について確認していきましょう。
別の業者から電話がくる
まず、詐欺業者はしつこく電話してくるでしょう。また、教えた番号を悪用されることもあり、業者と繋がりのある他の業者から頻繁に連絡がくることもあります。
法的手段に訴えてくることはあるのか
ワンクリック詐欺の業者から裁判で訴えられることはあるのかは気になるところですが、訴えられることはまずないと思っていいでしょう。裁判は名前と住所がわからないと申立が難しく、電場番号だけでは情報が不十分だからです。
公示送達を利用することで住所が特定できなくても裁判を起こすことはできますが、公示送達制度のハードルは高く、相手の居所を調査した報告書や、訴える側の住民票、戸籍を提出するなどして、居所確認に務めたことを証明しなければなりません。
詐欺業者は警察から身元を隠しているため、わざわざ身元を明かすようなリスクを取ることは考えにくいでしょう。
ワンクリック詐欺の業者へ電話してしまった場合にどうすればいいのか
では、ワンクリック詐欺の業者へ電話してしまった場合の対処方法について紹介していきます。
無視をする
まず、ワンクリック詐欺の請求画面で表示された契約内容は、法的に無効なため、業者からかかってきた電話は無視してください。
法的効力がない理由
契約は申込みと承諾により成立するところ、ワンクリック詐欺の請求の場合、当該申込と承諾が成立していない場合がほとんどと思われます。また、仮に申込みと承諾が合致していても、錯誤による無効主張が可能な場合がほとんどです(電子取引については、電子消費者契約法第3条で錯誤要件が緩和されています。)。
要するに、事前にサービスの内容や対価の説明もない状態で、単にクリックしただけでは、契約が有効に成立しないのです。以上のことから、ワンクリック詐欺の請求内容が法的に無効であることがわかります。
立て続けに電話が来た場合にどうすればいいのか
立て続けてかかってくる電話を止めたい場合は、電話をかけてくる業者の電話番号を控えた上で、電話の内容を録音するといいでしょう。証拠として保存してあることを伝えることで、相手側にプレッシャーを与えることができるからです。
どうしても電話が止まらない場合は電話番号を変更する
また、着手拒否に設定しても別の番号を介して電話がかかってくることもあるでしょう。しつこくかかってくる電話を止めたい場合は、電話番号を変えるのも一つの手段です。
請求のウィンドウを閉じた上で検索履歴を消去する
ワンクリック詐欺の請求画面が表示されたら、ウィンドウは即座に閉じてください。もし、ウィンドウが閉じられない場合は、ブラウザごと閉じるか再起動しましょう。ウィンドウを閉じたら、ご利用のブラウザから検索履歴を消去してください。
ウイルススキャンを行う
ワンクリック詐欺のアプリやソフトをダウンロードした方は、起動する度に請求画面が表示されます。ご利用のスマートフォンやPCがウイルスに侵されている可能性があるので、ウイルススキャンをしましょう。また、ウイルススキャンをした後は、不正サイトをブロックするために、セキュリティソフトやアプリのインストールをしてください。
自分で対処できない方はどうすればいいのか?
もし、自分でワンクリック詐欺の対処できない場合の相談先を紹介していきます。
消費者生活センターへ相談する
消費者生活センターでは、ワンクリック詐欺に遭遇した場合の対処法を、電話を介して相談することができます。
参照:「消費者生活センター」
警察へ相談する
警察は、被害が発生しないと事件として取り扱ってくれないので、業者へお金を振り込んでしまった方は警察に相談しましょう。警察へ相談した場合の事件解決までの流れは以下の通りです。
- 被害届の提出
- 振込先の口座の凍結
- 返金
口座が凍結されるまでに、業者は振り込んだお金を引き出そうとするので、なるべく早く警察へ被害届を提出しましょう。また、相談する方は、「都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧」からお近くの窓口を探してください。
弁護士へ相談する
すでに業者からお金を引き出されてしまった場合、業者の身元を特定する必要がありますが、警察はそこまで介入してくれないでしょう。
そのため、独自で身元の特定から業者への返金の交渉を行う必要がありますが、高い専門性を介するため、弁護士などの専門家へ依頼することをオススメします。
再びワンクリック詐欺に遭わないために必要なこと
では、最後に再度、ワンクリック詐欺に遭遇しないために必要なことを紹介していきます。
閲覧するサイトを限定する
まず、ワンクリック詐欺が多発するアダルト系または出会い系サイトは閲覧しないようにしましょう。また、出所が怪しいサイトの閲覧は控えた方が無難です。
ポップアップブロックを設定する
ワンクリック詐欺では、自動的に請求画面が表示されるポップアップウィンドウが用いられます。
(引用元:U-NEXT光)
請求画面が再度、開かないためにも、ポップアップウィンドウを表示させないポップアップアップブロック機能は有力です。デバイスによって設定方法は異なりますが、設定方法は以下の通りになります。
- パソコン:ブラウザ上の「設定」
- iPhone:「設定」→「safari」→「ポップアップブロックをON」
- android:「設定」→「高度な設定」→「ポップアップをブロック」
セーフサーチをオンにする
セーフサーチとは、アダルトサイトなど有害なサイトの閲覧をできなくする機能です。
PCの場合
セーフサーチの利用方法は、パソコンかスマートフォンによって異なりますが、パソコンを利用している方は、「検索の設定」から「不適切な検索結果を除外」を選択することでセーフサーチを設定することができます。
スマートフォンの場合
また、アンドロイド携帯を利用している方は、以下の手順からセーフサーチをオンにしてください。
- Googleの設定画面
- アカウントとプライバシー
- セーフサーチフィルタをオン
また、iPhoneを利用している方がセーフサーチをオンにするまでの手順は、以下の通りになります。
- Googleの設定画面
- 検索設定
- 不適切な検索結果を除外
まとめ
文中でもお伝えしましたが、ワンクリック詐欺の業者へ電話をしてしまったからといって、個人情報が特定される、法的に訴えられることは、基本的にはありません。
どうしても不安な方は、当記事で紹介した相談先へ問い合わせてみるといいでしょう。