弁護士費用特約とは?自動車保険の便利な特約を活用する方法

交通事故に遭った時に備えて、自動車に乗る人は任意で自動車保険に入る事が多いですが、この時、自動車保険のオプションである弁護士費用特約というものには入っているでしょうか?

家族や搭乗中の方が自動車事故に遭った場合、相手方(被害者ですね)に対して損害賠償の支払いを行うときなどに生じる弁護士費用などや、法律相談をするときの費用を保険会社が負担してくれる便利なサービスです。

意外と知らない人が多いですが、交通事故に関わる問題は加害者も被害者も絶対に弁護士を付けた方が優位かつ迅速に決着を付ける事が出来るんです。

「でも、弁護士費用ってお高いんでしょう???

そうですね。弁護士費用の相場的には着手金(0円〜30万円)と報酬金として経済的利益の10%+20万円程度がかかってきますので、大体100万円〜200万円程のお金がかかってきます。そんなとき!自動車保険の弁護士費用特約があれば、最大300万円まで保険会社が負担してくれるという訳です。

と、言う事で、今回は便利そうな自動車保険の弁護士費用特約を活用する為の知識をご紹介します。

自動車保険のオプション|弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、事故を起こした加害者側に対して損害賠償請求を行うときなどに生じる弁護士費用などを、保険の商品として弁護士費用を保険会社が支払う制度です。

他の自動車保険でも同様の説明がされていますが、様は「自動車事故にあった時、弁護士を雇うのはお金がかかると思うから、代わりに負担してあげますよ」というオプションだとお考えください。

弁護士費用特約は付けておいた方が良いのか?

弁護士費用特約という名前こそ、あまりメジャーな方ではありませんが、交通事故に遭った際に弁護士費用を保険金で賄える利便さから加入率は毎年増え続けており、平成22年度の契約件数は約1,400万件、全国の総世帯数の3割近くを占めるまでに普及しています。

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図参照:弁護士費用特約の加入率

弁護士費用特約を付けておいた方が良いかどうかは最終的に個人の判断になりますが、弁護士費用特約がある事で以下の様なメリットがあります。

過失割合が10対0の場合でも弁護士が示談交渉してくれる

交通事故に遭った時、自動車保険に加入していれば通常は自動車保険の担当者が相手(被害者側)との示談交渉を行ってくれますが、自分の過失が0%、加害者が100%の時、保険会社は示談交渉をすることができなくなってしまいます。

例えば、「信号待ちの停止状態時に追突された」「駐車中に追突された」などの過失割合がハッキリしている場合ですね。自動車保険は基本的に交通事故の相手に対して支払う損害賠償に備える為のものなので、賠償が発生しない10対0の事故では利用できない決まりなんです。

この時、

  • 相手が保険に加入していない
  • 相手(加害者)が損害賠償請求に応じない
  • 納得のいく金額を提示してくれない
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この場合は自分で交渉するか、相当の費用を支出して弁護士に依頼しなければなりません。こういったケースの時に弁護士費用特約を付けていれば、弁護士費用が支払われます。

弁護士費用を最大300万円まで負担してくれる

最近は無料相談を取り入れている弁護士事務所は多くありますが、それでも着手金がかかってくるケースもありますので、300万円まで補償してくる事を考えれば、加入しておけばメリットは大きくなるでしょう。

詳しい補償内容は、後述の「自動車保険の弁護士費用特約で受け取れる保険金」をご覧下さい。

・もし300万円を超えた場合
弁護士費用が300万円を超えるのは交通事故の中でも20%未満と言われています。このほかの交通事故全体の80%については、弁護士特約で費用がカバーされますので、心配の必要はほとんどないでしょう。

弁護士以外の報酬にも利用が可能

報酬、訴訟費用、仲裁・和解・調停になった場合の費用やその他権利の保全、行必要な手続きをするための費用など、弁護士費用意外の金額も保障される場合があります。細かい保険の内容は保険会社によって違うので、保険会社の代理店などに問い合わせをして確認してみるのが良いかと思います。

その他

  • 弁護士費用特約を利用しても翌年の保険料が値上がらない
  • 搭乗者保険、人身障害保険の適用でも翌年の保険料はそのまま
  • 年間の利用回数に制限等はない
  • 弁護士費用特約の使用で後遺障害等級が下がる事はない

弁護士費用特約が受けられる範囲の人

  • 記名被保険者
  • 記名被保険者の配偶者
  • 記名被保険者または配偶者の同居の親族
  • 記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子
  • 1~4以外の者で、契約自動車に搭乗中の者
  • 1~5以外の者で、契約自動車の所有者
    ただし、契約自動車の被害事故に関する損害賠償請求または法律相談を行う場合に限ります。

なお、自動車事故の「自動車」にはタクシーやバス、友人の車、原付・二輪自動車も含み、ご契約者とその家族は搭乗中だけでなく、自身が歩行中の場合の交通事故など、自動車にかかわる自動車被害事故が対象になります。

弁護士費用特約は実際のところ使い勝手が良いのか?

冒頭、自動車保険の弁護士費用特約の加入率は79.2%とお伝えしましたが、実際に弁護士費用特約を利用する人は全体の0.05%に留まっています。

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ちゃんと知っていれば便利なオプションなのですが、

  • 勧められるまま加入し、内容がよく分かっていない
  • 訴訟などの大事にしたくはない

などの背景があり、利用率は全く無いと言って良いでしょう。年間の利用回数に制限も無いので、保険会社の広報不足によるところも大きいのでしょうけど、もっと有効に活用出来ればいいですね・・・。

自動車保険の弁護士費用特約で支払われる保険金額

国内の主な主要自動車保険会社の保険約款をまとめると、弁護士費用や入通院費、物損事故は300万円まで。法律相談などは10万円まで(有料の場合の相談料約10〜20回分)を自動車保険会社が負担してくれるようです。

表:保険会社別弁護士費用特約料金比較(単位:万円)

会社名 死亡・後遺障害 入院 通院 物損事故 相談費用
東京海上日動 300 300 300 300 10
チューリッヒ 300 300 300 300 ×
アクサ損害保険 300 300 300 300 ×
ソニー損保 300 300 300 300 10
三井ダイレクト 300 300 × × ×
そんぽ24 300 300 300 300 10
SBI損保 300 300 300 300 300
イーデザイン損保 300 300 300 300 300

弁護士に相談だけ」という場合は、保障してくれる保険会社は少ないので注意が必要です。また、保障内容に関しては加入する自動者保険の会社に問い合わせてみるのが一番でしょう。

弁護士費用特約の保険料はプラス1600円/年程度

年間の保険料に1,600円ほど追加されるのが、強いて言えばデメリットかも知れませんね。ただ、保険は万が一に備えるものですので、交通事故が起こってから入っておけば良かったと思うなら、年間1600円はかなり破格のお値段だとは思います。

自動車保険の弁護士費用特約を使う場合に知っておく事

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弁護士に依頼することで慰謝料などが増額するメリットがある

もし自動車保険会社から任意保険基準で損害賠償金の提示を受けている場合、裁判所・弁護士基準で請求することで賠償金を100万円単位で増額できる可能性があります。後遺症などが残り、後遺障害等級に認定されるようなことがあれば、なおさら「弁護士基準」で請求した方が賢い選択であると言えます。

慰謝料の算定には3つの基準があり、自動車を持っている人が強制加入を義務付けられた「自賠責保険基準」、任意で保険会社の提示する自動車保険に入る「任意保険基準」、弁護士が入って裁判で争う「弁護士基準」があります。
出典:慰謝料を決める3つの基準

弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼する事も可能

まずは自動車保険会社に弁護士特約を使うことを連絡しましょう。もし依頼したい弁護士が決まっている場合は自動車保険の担当者の方に、依頼したい弁護士の名前、法律事務所名、法律事務所の電話番号などを伝えて下さい。

依頼する弁護士にも、保険会社の担当者の名前、担当者のいる部署の電話番号を伝えておけば、弁護士と自動車保険の担当者が打合せをし、弁護士費用の支払いがなされることになります。

弁護士の斡旋をしてくれる保険会社もありますので、紹介を受ける場合は指示に従えば良いと思います。ただ、その際はその弁護士が「交通事故に強い弁護士」かどうかを確認しておく必要がありますね。

自動車保険に弁護士費用特約を付けていなかった場合

仮に弁護士費用特約を付けていなくても、弁護士の中には、「弁護士報酬は賠償金の増額分の◯%から」など、成果報酬型で行っている事務所もあります。

例えば、報酬が増額分の20%だった場合、損害賠償金の初期提示額が100万円のところ、弁護士に依頼した結果200万円になったら、増額分100万円のうちの20%なので、20万円が弁護士への報酬となります。

弁護士に示談交渉を依頼した場合、保険会社が提示する慰謝料は増額できる場合がほぼ9割なので、弁護士費用や訴訟費用を成果報酬として支払うことになっても、依頼する価値があると思います。

自動車保険のオプション|弁護士費用特約のまとめ

さて、以上のことからも、自動車保険の弁護士費用特約はかなり便利なオプションです。交通事故に遭った際、セットで付いているかも知れませんので、一度保険会社に確認してみる事をオススメします。