離婚の慰謝料を分割で貰う際のリスクと未払い対策の知識

離婚の慰謝料を貰う場合、分割にすべきか一括で貰うべきか迷う事があると思いますが、慰謝料の金額は200万円前後になることが多いため、一括で支払える人は少ないかもしれません。

慰謝料の分割払いと一括払いのどちらが良いとか優れているという話ではないので、基本的にどちらを選択しても問題は無いのですが、分割払いにした場合、支払いが止まるといったリスクも考えて対策をしておく必要があります。

そこで今回は、離婚の慰謝料を分割で貰う場合に知っておくべきリスクやその対策等をご紹介します。

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離婚の慰謝料を分割で貰う場合のリスク

まずは慰謝料を分割で受け取ることに対してどんなリスクがあるのかを確認していきましょう。

 

相手が途中で慰謝料の支払いをやめる可能性がある

相手を傷付けるような行為をしたから、精神的損害を補うために支払っていたはずの慰謝料を途中で支払わなくなるなんて、許せない行為のはずです。でも、実際に慰謝料の支払いが突然止まるケースはかなりの数があり、離婚後のトラブルの20%が慰謝料の不払いによるものという調査結果があります。

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アンケート調査の結果、
・養育費が支払われない:30%
・慰謝料が支払われない:22%
・子供に会わせてもらえない:20%
・進学等の理由養育費を増額して欲しいが応じてくれない:18%
・離婚後も付きまとわれて困っている:8%
・相手の両親との付き合い方で困っている:2%

という結果となり、離婚時に取り決めた養育費や慰謝料が支払われないといったトラブルは半数以上という結果が明らかとなりました。(※有効回答数:3,102 ※調査期間:2014/11/01~2014/11/30)
出典:http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000006827.html

 

状況が変わって慰謝料が支払えなくなる

例えば、離婚当時は裕福だった方でも何かの影響で自分の生活にも困窮する場合も考えられます。普通に生きていればそんな事は無いはずですが、万が一という事もゼロではありません。慰謝料の分割払いにはこういったリスクもある事を覚えておきましょう。

離婚の慰謝料は分割よりも一括請求が理想

離婚慰謝料を受け取る場合、やはり分割よりも一括でもらった方が安心です。何が原因で支払いが止まるかは分かりませんし、相手の経済状況が変わって支払えなくなった等の場合、「無い袖は振れない」という泣き寝入りをするしか無いでしょうから。

 

慰謝料を分割にする場合に必ずやっておくべき5つの未払い対策

さて、では慰謝料の分割払いを選択した場合に、上記のようなリスクを少しでも軽減する為の慰謝料未払い対策をご紹介します。

強制執行が出来るように公正証書を作成する

相手に慰謝料の支払いを分割できちんと支払わせるなら、その事実を書面として残しておくことが最も重要なことです。この時用意するものは「離婚協議書」だけではなく、「離婚協議書を公正証書として残しておく」ことで、不払いがおきた場合に強制的に慰謝料を支払わせる事が可能になります。

公正証書は、公証人が公証人法・民法などに当てはめ、ガチガチに法律で固めた公文書のことを言います。高い証明力を持ち、相手が金銭の支払いを怠った場合は裁判所の判決を待たず、直ちに強制執行手続き(裁判所による強制的に金銭回収手続き)に移ることができます。
参考:離婚協議書の書き方と文例|効果を高める公正証書にする方法

若干の費用がかかりますが、意図的な支払いの拒否も防げるため、最もお勧めしたい方法です。

離婚協議書(公正証書)に乗せるべき内容

強制執行を可能にするには、次のような内容の詳細を載せる必要があります

  • 慰謝料の総額
  • 毎月の支払額
  • 返済期限
  • 返済回数
  • 強制執行認諾約款・・・など

これらの内容が曖昧だと裁判所は決定を出してくれず、強制執行できないこともありますので、詳細に載せましょう。

期限の利益喪失約款(遅延損害金)を盛り込む

期限の利益喪失約款」とは、分割払いに未払いがおきた場合、その時点で未払い分と全残額を請求できるという約束の事です。これを公正証書に盛り込んでおくと尚良いです。

たとえば、慰謝料が100万円、毎月末日に10万円ずつ支払う約束をしたが、2回目の支払いで滞った場合、この滞った時点で2回目の支払い分である10万円はもちろんのこと、残り18回分の180万円についても支払いを求めることできます。

期限の利益喪失約款を入れておくことで、分割払いの支払い日ごとに強制執行の手続きをする手間が無くなりますので、「期限の利益喪失約款」さえいれておけば、一度の手続きで済みますし、期限の利益を喪失する条件は分割金支払いを2回まで怠った時や、滞納金額が10万円に達したときなど自由に設定が出来るのも便利な点です。

ただ、1回でも遅れたら即アウトでは若干厳し過ぎるといえますので、その辺りは話って決めるのが良いでしょう。

期限の利益を喪失した日から遅延損害金が発生

一括での残金返済を行う場合、期限の利益を喪失した日から遅延損害金が発生します。一般には5%から10%の範囲で利率を定めることが多いですが、遅延損害金を定めなかった場合には、法定利率の5%が適用されることになります。

財産分与で調整しておくという方法もある

慰謝料を分割払いにしたとしても「相手が働いていない」「仕事が長続きせずすぐにやめてしまう」などの理由で、継続的な慰謝料の支払いが最初から期待できない場合は、財産分与の時点で調整をする方法があります。

例えば、通常2分の1で設定される財産分与の割合を「3分の2」などの多めに設定することで慰謝料と同等の価値を持たせる代替案を考えてみても良いでしょう。

支払額は大きく支払い回数は少なくする

人間誰しも長期間支払い続けると飽きてくるものです。それが払いたくもない慰謝料であればなおさらでしょう。なので、1回の支払額を大きくし、回数を減らすことで短期支払いを目指すことも有効です。

ただあまりにも金額が大きい場合は「払えない」と文句を言われそうですので、10万円を超える金額は控えるか、検討の必要がありますね。

初回の支払額を大きくしておくと良い

慰謝料の支払いが滞るリスクをすくなくするなら、初回の慰謝料を多めに取る方法があります。何かしらのサービスの初期費用と似ていますね。

最初に多めの慰謝料(総額100万円なら30万円など)を貰っておけば、不払いがおきてすぐに対処する場合でも心の余裕が生まれますし、相手も一回は支払っていますので、なんとかして次は支払いを回避私用などと考える事は少なくなるでしょう。

 

超便利!個人間で自動口座振替が出来る銀行サービス

実際に慰謝料を支払う方法としては「銀行振込」か「手渡し」、あるいは「送金」という手段が考えられますが、中でも銀行が行うサービスに振込が自動で設定出来る便利な機能がありますので、ご紹介しておきます。

これを設定しておけば、慰謝料などの振込が贈れる可能性をかなり防げるでしょう。

楽天銀行 | 毎月おまかせ振込予約

楽天銀行が提供している無料で使える自動振込システムです。主な使い道は、家賃などの振込のために利用されるようですが、これにあなたの口座を登録させて、毎月の慰謝料を振込する設定を行ってもらえば、本人が忘れていたとして自動で慰謝料の振込が行われます。
参考:http://www.rakuten-bank.co.jp/transfer/entrust/

毎月おまかせ振込予約のメリット

  • 毎月おまかせ振込予約の利用手数料は無料
  • 他銀行への振込手数料が安い:165円〜258円

 

三井住友銀行 | 定額自動送金《きちんと振込》

楽天銀行と同様のサービスですが、こちらは定額自動送金取扱手数料で1回108円(消費税込)に加え、別途振込手数料がかかってしまいます。
参考:http://www.smbc.co.jp/kojin/furikomi/soukin/

 個人 振込金額 同行同一店あて 当行本支店あて 他行あて
3万円未満 無料 108円 432円
3万円以上 324円 648円

 

東京三菱UFJ銀行 | 定額自動送金サービス

インターネット上で手続きをする事は出来ず、実際に支店窓口に行って手続きをする必要があります。

定額自動送金
サービス
( )手数料
振込金額 同行同一支店 同行他店 他行あて
3万円未満 無料
(+108円)
108円
(+54円)
324円
(+54円)
3万円以上 無料
(+108円)
324円
(+54円)
648円
(+54円)

参考:http://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/furikomi.html

その他の主な自動送金サービス

  • ジャパンネット銀行(他行あて:162円~262円)
  • みずほ銀行:自動送金サービス(他行あて:423円〜648円)
  • 住信SBIネット銀行(他行あて月に3回無料、以降は一律150円)
  • りそな銀行 | 自動送金/自動振込サービス(他行あて:648円)

 

離婚の慰謝料トラブルは迷わず専門家に相談

離婚の慰謝料を請求するというのは、「あなたにこれだけの事をされたから、これだけのお金が必要です」という、正当な理由が必要になり、その為には証拠となるモノを揃える事が絶対条件になります。

また、公正証書の作成や強制執行手続きといったものは、やはり専門知識が必要となるため、素人では時間も手間もかかってしまいます。

もちろん自分で進めることも出来ますが、法律の専門家に相談をすることで、回収の手助けやスピーディーな解決が望めますので、一度は相談してみる事をおすすめします。