離婚でよくある問題と各離婚問題別の解決方法まとめ

離婚問題は最も身近な法律問題といえます(厚生労働省によると平成25年の離婚する夫婦は23万組以上)。現在、離婚を考えているけど、その一歩が踏み出せないまま二の足を踏んでいる方も多いことでしょう。経済的な問題、手続きや裁判、子供の養育費や親権など、離婚に伴う問題はつきません。

考えれば考えるほど、億劫になりそうですが、近年、離婚する人がそんなに珍しくないことをご存知でしょうか。結婚や離婚に対する考え方は、多様化してきていて、それに伴い社会や世間でも離婚に対する理解が深まってきたのも事実です。

しかし前述したとおり、離婚を進めていくうえでの問題はたくさんあり、一つ一つ解決していかなければなりません。今回の記事では、直面する離婚問題へ対する知識やその解決法を紹介していきます。

 

 

離婚の話し合いにおける問題と解決方法

離婚における話合いで起こる問題は様々です。愛し合って結婚したときとは違い、円満には事は運びません。

離婚に同意してくれない

本来ならば離婚はお互いの同意があって成立するものです。話し合いで済むにこしたことはありません。しかし、中には離婚したくても、離婚に同意してもらえないケースもあるでしょう。お互いの感情をぶつけ合いなかなか話がまとまらない夫婦も多いようです。

解決方法

とにかく離婚の話合いで一番よくないことは、感情的になること。自分の要望や、離婚の際に付随する権利や義務などを事前にまとめた上で、話し合いをすることをオススメします。話しがまとまらないのであれば、まずは離婚調停を申し立てるのが効果的です。離婚調停は調停委員という第3者を介した話し合いを行うものです。

当事者同士では感情的になってしまい、冷静な話ができない場合でも第3者を介することでお互いの着地点を見つけられる可能性があります。

相手が高圧的で離婚を切り出せない

もし離婚を考えているのであれば、パートナーに納得してもらえるよう話合いをするべきですが、相手が高圧的なあまり離婚を切り出せない例もあります。

解決方法

うまく離婚の話を切り出す自信がないのであれば、知り合いや弁護士など第3者を間に挟むことをオススメします。高圧的な態度を前に相手のペースにのまれてしまい、要点を伝えられなければ意味がありません。まずは間を取り持ってくれる知人や弁護士と相談して、伝えるべき内容をまとめた上で、話し合いに挑みましょう。

いきなり離婚を迫られた

近年、離婚も珍しくないご時世ですが、自分には他人ごとだと思っていたのに、ある日突然パートナーに離婚の話を迫られることもあるかもしれません。

解決方法

突拍子もなくパートナーの方から離婚の話をされたらパニックに陥ると思いますが、その場の感情的に任せて行動に移さないようにしましょう。まずは一度、冷静になって自分がどうしたいのか、どうすべきなのかを考えをまとめた上で、自分の行動を決めていくことが大切です。

離婚問題は法律が絡んでくるため、自分の考えをまとめる意味で、一度弁護士に相談することをオススメします。初回の面談法律相談を無料にしている事務所もありますので、一旦相談してみることで道筋が開けることもあるでしょう。

 

離婚におけるお金の問題と解決方法

離婚する際に、夫婦が一番もめる離婚問題はお金です。誰しもが、少しでも自分が得をするように、話を持っていけたらと思うのは当然のこと。貰う金額はできるだけ多く、支払う金額はできるだけ少なく済ませるに越したことはありません。有利に物事を運ぶためにも、事前に離婚に伴うお金に関する知識の蓄えが必要です。

離婚の際の金銭の取り決めとして、「財産分与」「慰謝料」「養育費」「婚姻費用」の4つがあります。それぞれの特徴と対応策を見ていきましょう。

財産分与:離婚したら家や貯金はどうなるのか

車や家、貯金など結婚生活中において築いてきた共同の財産を離婚の際に、夫婦でどう分けていくのかが財産分与です。どちらか一方の名義で購入したとしても、それが高額であるほど、夫婦共同で築いた財産と見なされます。財産分与は、それぞれの貢献度に応じてもらえる割合は前後しますが、平等に分けようという考え方です。

対象となる財産は多岐に渡ります。「離婚時の財産分与の分け方と有利に進める方法」を参考にしてください。

慰謝料を貰うためには

法律上、慰謝料とは「精神的苦痛に対する損害賠償」を指します。加害者が被害者に与えた精神的痛みをお金で償うといったものです。離婚と聞いて、慰謝料を思い浮かべる人は多いかと思いますが、実際のところ離婚に伴う慰謝料は低額に落ち着く場合がほとんどで、慰謝料が貰えるケースはそんなに多くありません。

精神的苦痛といっても、それを計るだけの判断材料が少ないのが現実です。もし明らかに相手が浮気していたなどのケースであれば割と高額な慰謝料請求ができます。ただし、浮気の証拠が必要となりますのでまずは探偵に無料相談してみるといいでしょう。

解決方法

慰謝料請求が可能なシチュエーションとして挙げられるのが、浮気や家庭内暴力など相手側の落ち度が明らかなもの、つまりは立証しやすい場合です。もし、慰謝料を請求することを考えている方は、浮気の現場を抑えた写真やメール、家庭内暴力においては、医師の診断書など明確に証拠が残るものを保存しておきましょう。

離婚慰謝料に関する詳しい解説は「離婚の慰謝料|獲得と増額のための完全マニュアル」をご覧ください。

養育費が支払われない問題

子供が成人するまでの間は、子供と別居していても、子供の扶養は親の義務です。養育費はあくまで子供のためのものであり、支払方法や期日など取り決めについてきちんと話し合う必要があります。しかし養育費は時間が経過するにつれ、支払いに滞りがでてくる傾向にあります。母子世帯の受給状況において、現在も養育費を受給している割合は19.7%です。

解決方法

慰謝料や財産分与と違い、養育費には時効がありません。もし支払いに滞りがある場合は、「離婚後の養育費の相場と増額させる効果的な話し合いの姿勢」を参考にしながら、家庭裁判所への申し立てを検討しましょう。

婚姻費用:離婚前の生活費をどうするか

夫婦仲がギクシャクしていると、離婚が成立前から別居を余儀なくされる場合があります。経済力のない多くの専業主婦の方にとって、いきなり自分の力で生活をしてくのは困難なはずです。

解決方法

例え別居中の夫婦であれ、収入の多い方が相手の生活費を負担する義務があります。つまりは専業主婦の方は、離婚が成立するまで旦那さんから生活費(婚姻費用)をもらう権利があります。しかしこの義務を怠る場合が多く、請求をしなければもらえない場合がほとんどです。

もし相手側に支払いの滞りがあるのなら、相手側に支払いの催促をしましょう。その際、電話など口頭ではなくメールや郵便などなるべく日付と書面を残すことが大切です。また内容証明郵便にすればより効果的な証拠になります。もしそれでも支払いに滞りがあるようでしたら、家庭裁判所に、婚姻費用分担請求を申し立てましょう。

 

子供に関わる問題と解決方法

成人に満たない子供がいる家庭において、離婚する際に子供のことについて一番最初に考えなければいけません。親権、養育費の取り決め、面会交流など法律上、決めるべきことはたくさんあります。

親権を取得するために

中でもどちらが子供を引き取るのかが一番もめるところです。両親の離婚が決まっても、親子の関係がなくなるわけではありませんが、親権が相手に渡ってしまった場合、子供に会える頻度は減ります。

解決方法 <男性>

日本において、女性のほうが圧倒的に親権を取りやすいのが現実です。しかし最近では、子供の意思を重視するようになってきていて、年齢が高くなってくるほどに子供の意思が尊重されます。また育児や家事をする男性が増えてきている時代の変化もあり、調停や裁判において、父親側が親権をとるケースも増えてきています。

子供を引き取りたいと願う父親の方には、子供を引き取れるだけの育児実績を証明すること、子育てに差支えない環境づくりが必要です。また子供への虐待などがあった場合、親権を取得するのは困難になります。もし相手側の虐待が原因なのであれば、「離婚の際に親権を獲得したい父親が知っておくべき全知識」を参考にしながら、調停や裁判に向けて、証拠集めをしましょう。

解決方法 <女性>

子供を養えるだけの生活ができるようになった後で、母親が子供を引き取りに行くといったケースが女性に多く見られます。しかし、単独で家をでた場合、後で子供を引き取りに行っても拒否されることが関の山です。もし単独で家をでた場合、父親と子供の生活が安泰していたら、現状尊重の原則から親権が取りづらくなります。

子供の生活を保障するために経済力を蓄えることは大切ですが、別居する場合、子供も一緒に連れていくのが親権を取得するうえで得策です。もし子供を養えるだけの生活基盤を形成したいのであれば、実家に子供を預けるなど、子供との距離は作らないようにしましょう。親権はあくまで子供主体で考えるべきことです。

子供の養育上、何が子供にとって最善であるのかが裁判において最も問われます。離婚はただでさえ子供にとって大きな負荷です。なるべくは子供がいないところで、離婚の話を進めるようにしましょう。

面会交流:子供に会わせてもらえない

親権が相手側に渡ってしまっても子供との縁が切れるわけではありません。別れた親には、面会交流といった子供に会うための権利があります。制限はありますが、定期的に会うことができますし、宿泊や学校行事への参加も可能です。しかし、いざ子供との面会を希望会しても、相手側から何かと理由をつけられて面会を避けられることがあります。

解決方法

もし相手側が不当に子供に会わせないようにするのであれば、裁判所に履行勧告を申し立てましょう。詳しくは「面会交流調停の流れと面会交流が許可されないケースまとめ」をご確認ください。

子供への悪影響

離婚する際に、子供のことを一番に考えなければなりません。子供が一番、幸せになれるような形を見つけることが大切です。多かれ少なかれ、親の離婚は子供に精神的ストレスを与えることは確かですが、結婚生活を無理に続けることも子供がストレスを感じる原因になりえます。

虐待やDVに限った話ではなく、不仲の両親の元に育った子供が、結婚願望を抱けない例もあります。離婚を考えている方は、子供が心身共に健やかに育つために何が最善かを考えましょう。
参考:「離婚と子供|離婚前に確認すべき子供への悪影響と対策の全て」

 

自分だけで問題を解決できない場合は弁護士へ相談しよう

離婚をする際、弁護士が必要かどうかはケースバイケース。協議離婚(夫婦の話し合いで解決する離婚)でしたら弁護士の必要性はそこまで高くないでしょう。しかし話し合いがこじれるほどに、法律の知識が問われるため弁護士が必要になってきます。

探し方がわからない方は、法テラスへ相談(無料)することをオススメします。また、インターネットで検索してみることも、離婚に強い弁護士を見つける際に効果的です。

 

離婚成立後によくある問題と解決方法

離婚時に取り決めた約束が守られない

無事離婚が成立したにも関わらず、離婚の際に取り決められた約束が守られないケースが少なくありません。養育費や財産分与が期日に支払わられないといったお金の問題、面会の約束があるのに子供に会わせてもらえない問題などが挙げられます。

解決方法

相手側が約束に応じない場合、電話やメール、内容証明郵便などを通して可能な限り催促しましょう。それでも応じない場合、法律の力を借りることが得策かもしれません。裁判所に履行勧告を要請し、それでも応じない場合は、強制執行に踏み込むことも可能です。

法律の力を借りるためにも、離婚の話を進めている段階で、口約束ではなく離婚協議書や公正証書など書面に残しておきましょう。

離婚後の生活が経済的に苦しい

離婚が成立したからといって全てが解決するわけではありません。その後の生活をどうしていくのか。今までと違う生活スタイルを築きあげていくことが必要です。とくに専業主婦の方は、離婚後の生活費をどうまかなっていくのか、経済的な問題が突きつけられます。

解決方法

生活をするためにも、専業主婦の方は離婚後の職探しは必然です。しかし専業主婦であった期間が長いと、いきなり社会復帰をするのも容易ではありません離婚後の就職活動をスムーズに進めるためにも、離婚前の段階である程度、仕事の目星をつけておきましょう。女性の再就職を支援するサービスを利用することもできます。

また就職活動は時間のかかる作業ですので、少しでも余裕を持つことが大切です。あらかじめ貯金があればいいのですが、生活に余裕がでてくるまでの間は、実家から支援を受けるのも一つの手です。また、子供のいる方ですと、行政から母子家庭が受けられる手当があるので利用することができます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。いざ離婚が差し迫ってきたら、想定していなかった問題がたくさんあると思います。今回の記事を参考までに、少しでも離婚問題解決のお役に立てば幸いです。