自転車事故による慰謝料や損害賠償の相場と慰謝料を出来るだけ増額させる手順

老若男女、多くの人が免許を持つことなく利用できる自転車。その自転車による事故が最近多くなっています。免許はなくとも、事故が起きてしまった時の被害は自動車に劣りません。

現代社会では、交通事故に完全に遭うことを避けることは出来ませんし、また、近年では自転車事故も大きな社会問題となっており、道路交通法も改正されて、自転車の運転に対する規制なども強まっています。

ただ、自転車事故の場合の慰謝料の計算方法や請求方法などについては、自動車事故の場合と比べて一般によく知られていないので、今回はそんな自転車事故に関する慰謝料の相場を見ていきましょう。

交通事故の慰謝料相場とできるだけ慰謝料を高額請求する手順

2016.09.28

 

自転車事故による慰謝料の相場と過去の判例

自転車事故が起きた際、自動車と違って特に免許が必要ないことから、相場が安くなると思ってしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし、自転車で事故を起こしてしまった場合も、慰謝料の金額が下がることはありません。

むしろ、自動車と違って自賠責保険への加入がなかったり、任意保険に加入されている方が少なかったりするために、実際に支払う金額が高くなってしまうケースすらあります。

ここでは自転車事故の慰謝料の例を見てみましょう。

 怪我をした場合

打撲などの軽症の場合は申告な裁判などになることは少なく、示談で済むケースがほとんどです。その場合は、通院した回数などによって、5,000円~数万円程度の通院慰謝料で済むでしょう。

 後遺障害が残った場合

一方で後遺障害が残った場合の慰謝料は1億円近いものになるケースもあります。以下の2例を見ていきましょう。

 神戸地方裁判所 平成25年7月4日判決

小学校高学年の男子が夜間自転車での帰宅中に歩道と車道の区別のない道路で歩行中の62歳の女性と正面衝突して、女性に頭蓋骨骨折等の傷害を負わせてしまいました。その女性はそのまま意識が戻らない状態になってしまい、賠償額として9,521万円が言い渡されました。

 東京地方裁判所 平成20年6月5日判決

男子高校生が昼間に自転車横断帯のかなり手前から車道を斜めに横断し、対向車線を直進してきた自動車に乗っていた24歳の男性会社員と衝突しました。男性会社員には言語機能の喪失等の重大な障害が残り、賠償額として9,266万が言い渡されました。

これらは後遺障害の中でも重い症状である意識不明や言語機能の喪失といった症状を患ってしまったためではありますが、死亡事故よりも高い賠償額を払うことになってしまっています。

 死亡した場合

では、死亡させてしまった場合はどれくらいの賠償額を支払うのでしょか。

東京地方裁判所 平成15年9月30日判決

男性が夕方に片手でペットボトルを持ちながら、スピードを落とさず下り坂を走行して交差点に進入したところ、横断歩道を横断中の38歳の女性と衝突しました。女性は3日後に脳挫傷等で死亡し、賠償額として6,779万円が言い渡されました。

東京地方裁判所、平成19年4月11日判決

男性が昼間に信号表示を無視し、スピードに乗ったまま交差点に進入したところ、青信号で横断歩道を横断中の55歳の女性と衝突しました。女性は11日後に頭蓋内損傷等で死亡し、賠償額として5,438万円が言い渡されました。

 

被害者が加害者に対して請求できる慰謝料の種類

ここまで具体的な数値を見てきてお分かりになるように、自転車事故の損害賠償金額は普通の自動車事故のものと変わりません。

ここではその損害賠償にかかる種類とその説明をしていきましょう。

 治療費

事故に遭い、通院や入いを行った際の治療費や薬代、通院にかかった交通費です。

 入通院院慰謝料

入院した期間とその症状の重さによって、拘束されていた期間の苦痛を金額にしたものです。

 付添看護費用

自宅療養を行うことになった際などに、専門の介護士を雇用し、利用した場合にはそこでかかった金額も賠償金として請求することができます。

 休業損害

交通事故によって働くことができなくなった場合の補填として賠償金を請求することができます。

 後遺障害慰謝料

事故によって発生した後遺症の等級によって、賠償金を請求することができます。

 死亡慰謝料

万が一、事故によって被害者が死亡してしまった場合には、葬儀費用などとは別に死亡慰謝料を請求することができます。

 

自転車事故で請求できる慰謝料の計算方法

さて、ここまで自転車事故を通した全体の損害賠償の金額とそれぞれの賠償の種類を述べてきました。では、それぞれの賠償金額を個々に算出しようとするとどうなるでしょうか。ここではその算出方法をお教えします。

 財産的損害の算出方法

財産的損害には一般的に積極的損害と消極的損害にわけることができます。

積極的損害は治療費など事故が起こってしまったために発生した損害のことです。一方、消極的損害は事故に遭わなければ得ることができたであろう損害となります。

積極的損害の算出方法としては、以下のかかった費用を合計することになります。

  • ・治療費・手術代・入院費・入院雑費・入院付添費
  • ・通院交通費・宿泊費
  • ・装具・介護器具・介護のための改築・改造等の費用
  • ・葬儀関係費用
  • ・損害賠償請求のための費用・弁護士費用

 消極的損害は休業損害と逸失利益にわけられる

休業損害は赤い本を利用した弁護士基準ですと、「1日当たりの基礎収入×休業日数」となります。

1日あたりの基礎収入の計算には会社からの給与明細や自営業の方ならここ数年の収入の平均などを利用して算出されます。自賠責保険に加入されているわけではないので、自賠責基準を適用することができず、支払う側から見ると高額になりがちな点に注意しましょう。

逸失利益は後遺症などにより、本来なら事故以降に働くことで得ることができた収入を補填する制度ですが、こちらも「1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」という式で計算することができます。

労働能力喪失率は後遺障害ごとに違いますので、症状によって確認するようにしましょう。

 精神的損害の算出方法

先の財産的損害と並んで精神的損害も賠償することができます。これが慰謝料と呼ばれるもので、入院した場合、入院費用が財産的損害にあたり、入院することになった苦痛に対しての賠償が精神的損害、つまり慰謝料となります。

入通院をした場合には、何ヶ月入通院したかによって支払う慰謝料がかわり、それは以下の表のようになります。

赤い本 別表Ⅰ(骨折などの場合)
  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院   53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 191 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346  
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344    
8月 139 170 199 226 252 252 274 292 308 320 328 333 338      
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338        
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335          
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332            
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326              
13月 158 187 213 232 262 282 300 316                
14月 162 189 215 240 264 284 302                  
15月 164 191 217 242 266 288                    

 

赤い本 別表Ⅱ(打撲などの軽いもの)
  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院   35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229  
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225    
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219      
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214        
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209          
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204            
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200              
13月 120 137 152 162 173 181 189 195                
14月 121 138 153 163 174 182 190                  
15月 122 139 154 164 175 183                    

また、後遺障害を発症した場合は、等級に応じて以下の慰謝料を請求することができます。

赤い本 後遺障害慰謝料
第1級 2,800万円
第2級 2,370万円
第3級 1,990万円
第4級 1,670万円
第5級 1,400万円
第6級 1,180万円
第7級 1,000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
10 550万円
11 420万円
12 290万円
13 180万円
14 110万円

そして、死亡してしまった場合の慰謝料の金額が以下の表のようになります。

赤い本 死亡慰謝料
一家の支柱 2,800万円
母親・配偶者 2,500万円
その他 2,000~2,500万円

慰謝料はこれらの合計金額をもって請求することができます。

 

自転車事故の慰謝料を増額させる方法

さて、ここまで損害賠償や慰謝料の金額について見てきました。ですが、家族が後遺障害を負ってしまったり、死亡してしまったりと重い悲しみに包まれる中、相手から慰謝料を思ったほどもらえなかったとうケースもあります。

その場合、まずは弁護士に相談することが最も近い道となりますが、方法を知りたいという方にはその方法をいくつかお教えしましょう。

過失割合を下げる

賠償金や慰謝料は、それぞれの項目の金額を算出した後に、それを合算したものに被害者と加害者の過失割合をかけたものが最終的な金額となります。

夜道での無点灯や横断歩道無視、信号無視など、加害者の過失が多ければ多いほどもらえる金額が多くなり、逆に被害者側も過失を犯していた場合は、もらえる金額が低くなるのです。

そのため、過失の程度に応じて、過失割合が低いと感じたらその証拠を集め、意見を述べるようにしましょう。

過去の判例を調べる

過去の判例の中に、ご自身のケースよりも賠償金額が高いものがあった場合は、その判例を見せることで賠償金額が上ることがあります。

特に『交通事故判例タイムズ』という本は裁判書でも利用されている本なので、利用してみる価値はあるでしょう。

このようにいくつか慰謝料や賠償金を多くもらうための方法はありますが、自転車事故は先に述べたように保険に加入されていないことが多いため、保険会社を利用することができず自分自身で正しく膨大な知識を引き出す必要となります。

自分1人で抱え込もうとせず、弁護士を利用するようにしましょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。多くの人が利用している一方で、事故を起こしてしまった場合には免許が必要な自動車以上に大変なことになってしまうケースがある自転車事故。

事故が起こらないように注意することはもちろんのこと、被害者となってしまった時に備えて、知識を持っておくこともよいでしょう。

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