M&Aのメリットとデメリット|買い手・売り手別に解説

M&AはMergers and Acquisitionsの略であり、その名の通り合併(Mergers)や買収(Acquisitions)のことを指します。清算・廃業の代替手段や、事業の一部の譲渡などさまざまな目的に合わせて活用されています。

創業者・経営者が利益を得たり、会社を存続させる上では大きなメリットがあるといわれるM&Aですが、一方でデメリットも存在します。特に、従業員へのリスクなどを心配されている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、売主側と買主側に分けて、M&Aのメリット・デメリットをご紹介します。

 

売主側のM&Aによるメリット・デメリット

売主側にはM&Aによってどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

メリット

主なメリットは3つです。

後継者問題の解決

親族に事業を引き継ぐことができず、そのまま廃業してしまう経営者の方もいるでしょう。また、従業員を後継者として育成しようとは思っても、簡単に育ってくれない場合もあります。そのような場合の解決策としてM&Aは有効です。M&Aで外部経営者に経営権を譲ってしまえば後継者問題は解決します。

利潤の獲得

M&Aの対価による経済的な利益を得て事業を手放すことも可能です。

清算・廃業の回避

M&Aにより事業を継続できれば、会社の清算や廃業を回避することができます。

デメリット

M&Aによる売主側の主なデメリットは5つです。

理想価格での譲渡が実現するとは限らない

買主側は投資先として売主を見ているため、安く抑えたいのが通常です。交渉力にも左右されるため、信頼のおける交渉代理を立てるなどの戦略も必要です。

体制変更による現場の対応が難しい

M&Aによって、買主側の企業の体制へと自社が大きく変わることもあるでしょう。そうした場合、労働条件や社内の雰囲気が大きく変化することにもなります。このような場合、現場では急な変化への対応を求められ、それについていけないといった事態も発生しかねません。

したがって、M&Aを検討する際は、従業員への配慮も必要かもしれません。

従業員の労働条件の変更

買主側の体制に変更することによって、労働条件も変更となる場合があります。このような変更は従業員の人生に大きな影響を与えかねないため、慎重な検討が行われます。

労働条件が売主側と買主側の従業員間で一致していない場合、後々問題が生じかねません。変更への対応を迫られる場合があります。

離職率の増加

経営者や労働条件などの変更によって、従業員がデメリットを被ってしまうケースも、M&Aには存在しています。その場合、従業員の離職が増加するといった事態が発生しかねません。

既存顧客との関係性悪化が懸念

既存顧客の視点からすれば、M&Aによって今までとは違う相手と取引を行っていくことになります。特に、契約条件の変更などは大きな影響を既存顧客側に与えるでしょう。その影響から関係性を悪化させてしまうといった事態にも発展しかねません。

いったん既存顧客を失ってしまえば、挽回が困難となることもあります。必然的に従業員にも大きな負担をかけることになるでしょう。事前の説明を徹底し、顧客側が裏切られたと感じるような状況を作り出さないことが不可欠です。

 

買主側のM&Aによるメリット・デメリット

M&Aによる買主側のメリットは非常に多く、しっかりと相手を選ぶことができれば、支払ったコストに対して十分な恩恵を受けることができます。

メリット

買主側のメリットは主に6つです。

経済規模の拡大

M&Aでは売主側が譲り渡したものを、そのまま取り込むことができます。具体的には従業員や資産などに加え、売主側の取引先までをも取り込むことになるのです。同業他社を取り込んだ場合には、必然的にその事業内での買主企業の規模が拡大することになります。

これによって、固定費自体はさほど変化することなく効率性の増大が計られる、スケールメリットを得ることができる場合もあります。

事業幅の拡大

事業の幅を広げること自体を目的として、M&Aが行われることもあります。M&Aを用いた事業幅の拡大は、1から自社で行っていくよりも手軽かつ、すばやい拡大の成功が見込めるからです。実際、M&Aによる事業拡大の成果は大きなものです。

競合他社の技術を吸収できる

競合他社の持つ技術や人材を吸収し、自社の事業に活かしていくことができるのもM&Aの魅力です。特にM&Aは買収が完了すればその時点で技術の吸収も行えるため、即時性があるというのも強みです。

特許や特定の技術・資格を手にして、自社の事業の展開を狙う経営者にとっては、M&Aはほかの手段にないメリットを持ち合わせていることになります。

業績の安定成長が見込める

M&Aで買収を行う場合、負債がどの程度あるのか、どの程度の資産があるのか、取引先の状況はどうかといった総合的な観点から、決定を行うことができます。ある程度軌道に乗った経営状態の会社を買収できる場合は、安定した業績の成長を見込むことができるでしょう。

部門の強化ができる

M&Aによる技術力の向上や取引先の増加などによって、部門の強化を見込むことができます。これにより、元々は強みがなかった部門を強化し、主要な部門にまで押し上げることも可能です。経営資源の最適活用や事業の組み合わせなどによって、大きな発展が望めるでしょう。

節税対策になる

やり方によっては、M&Aで節税効果を得られる場合もあります。節税を目的としたM&Aの場合、キーになるのは赤字損失の繰越欠損金です。

繰越欠損金とは

この繰越欠損金は平成304月以後開始事業年度より、10年間繰越が可能です。そして、赤字会社には通常法人税が課されることがありません。これらを利用し節税を行います。

自社の黒字を売主側企業の赤字で相殺することによって、大きな節税効果が見込めるのです。ただしこのような繰越欠損金の引き受けには、事業規模や事業の関連性といった条件が存在し、個々のケースに応じて引き受けが可能かどうかの検証をしておく必要があります。

デメリット

メリットが多くある一方、もちろんデメリットも存在しています。

吸収した事業部担当との軋轢

吸収された側がすぐに買主側に染まるということは、まずありえません。体制の変化などによって軋轢が生じる場合というのもあるでしょう。特に、これまでの経営陣だったからこそ尽力していたという従業員が多い場合には、注意が必要です。

このような軋轢は会社自体の機能低下を招きますし、場合によっては、従業員の退職などにつながりかねません。

事業拡大による意思決定のスピード鈍化

急激な事業の拡大によって、従来よりも意思決定のスピードが鈍化してしまう恐れがあります。

また、別々の会社を一つに統合させるため、多くの物事において融合するまで時間がかかってしまいます。M&Aは技術や資源などを取得できるというメリットがありますが、このようなデメリットも同時に持ち合わせているのです。

 

M&Aにかかる期間

M&Aは相手企業の選定や、選定後の両社での交渉など、さまざまな要因によって大きく必要期間が変わります。割合的には多くないものの、1ヶ月程度で終了する場合もあれば、1年以上かかってしまうケースも存在しています。

交渉の開始からM&Aが成立するまでの平均的な期間は、3ヶ月から6ヶ月程度の期間となっています。M&Aは相手との交渉次第で変化するものなので、互いの条件がうまく合えば短期間で成立させることも可能ではあります。

一方で、例えば売主側の場合、自社の状況や条件がよくないものであれば、長い期間を要してしまう可能性も十分に考えられます。

また、確実に成立するとも限らないのがM&Aの特徴です。そのようなケースも考慮した上で、M&Aを検討する場合には余裕を持った期間で設計を行いましょう。

 

M&Aの進め方

M&Aは個々の場合に応じて手順の変更などが発生しますが、大まかな流れは共通しています。一般的なM&Aの進め方を見てみましょう。

基本的な戦略(M&Aの目的)の決定

明確な目的の策定はM&Aの方法の選択や、そもそも行う必要があるかどうかの決め手になります。

相手(買主、または売主)の選定

選定は自社の取引先が相手の場合もあれば、M&Aの仲介企業が候補を提供する場合もあります。ここでは事業の内容や条件等を考え選定を行っていきます。

交渉

直接相手方の担当者と交渉を行います。ここで条件のすり合わせ等、詳細な検討を行っていきます。

基本合意事項の締結

両者が基本的に合意した場合LOI(基本合意書)を締結することになります。これに関しては法的な拘束力を持たない場合が一般的です。

デューデリジェンス

買主サイドにとって特に重要なのがデューデリジェンスです。実態の調査や想定リスクを洗い出す作業がここになります。法務、財務、事業などに分け、デューデリジェンスが行われます。

契約締結・履行

デューデリジェンスに基づき最終的な買収の決定を行います。価格等についてはここで特に入念な検討が行われます。

 

まとめ

M&Aには売主側にも買主側にも多くのメリットが存在します。一方でデメリットの把握も重要です。特に従業員に関しては両者とも十分に考慮しなければなりません。吸収された側は体制の変更が行われることによって、反発が出ることも予想されるからです。

しかし、こうした事態をしっかりと把握し、的確な対応をとっていれば、M&Aの持つ多くのメリットを十分に活かすことが可能です。売主側も買主側も十分にM&Aのメリットを活かせるよう、まずは専門家に相談して、具体的な方法や必要経費を検討してみてはいかがでしょうか。

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