ラブハラスメント(ラブハラ)とは、恋愛や性関係について本人が嫌がっているのにも関わらず執拗に聞いたり干渉したりすることです。ラブハラ加害者は相手に対して良かれと思って話題にしていますが、被害者からしたら精神的苦痛を伴うものです。
今回は、被害を訴えにくいラブハラの対処方法についてご紹介します。
ラブハラスメント(ラブハラ)とは
ラブハラスメント(ラブハラ)の概要とよくあるタイプ
ラブハラは、職場などで恋愛や性について執拗な言動をするハラスメントです。ラブハラにはいくつかのタイプがあるのでご紹介します。
モラハラタイプ
- そろそろ結婚はしないのか
- その年齢で恋愛経験がないなんて人間性に問題があるんじゃないか
上記のようなタイプは「ある程度の年齢の大人なら、恋愛経験があって当然」「●歳までに結婚して当然」という固定観念によってハラスメントを行うモラハラタイプの加害者です。
モラハラタイプのラブハラをする加害者は、自分の価値観が正しいと思っているため説得が難しい場合があります。
パワハラタイプ
- 彼女(彼氏)いないの?いい人紹介しようか?
- いい歳なんだし、結婚考えないと!
上司などの優位な立場にある人がラブハラを行う場合はパワハラタイプにあたります。
パワハラタイプの加害者は「からかっただけ」「冗談のつもり」と被害者の反応を見て面白がっている場合もあるので、被害者から不快に感じていることを伝えないとおさまらない場合があります。
セクハラタイプ
- 最近どうなの?彼女いないからご無沙汰でしょ?(性交渉について尋ねる)
- 恋人いないなら俺が付き合ってやろうか?
このような発言はラブハラである以前にセクシャルハラスメントです。セクハラタイプのラブハラは、二次被害に注意が必要です。性的な言動で不快に感じたり、身の危険を感じたりした場合は早急に上司や社内窓口に相談しましょう。
ラブハラの加害者の多くは良かれと思ってやっている
ラブハラのほとんどは、被害者から明日ら「余計なお世話」であり「あなたに言われる筋合いはない」と思うものばかりだと思います。
しかし、ラブハラ被害者の多くは悪いがなく、良かれと思って余計なことを言ってしまうのです。そのため、被害者が本気で嫌がっているとは思っていないことがほとんどなのです。
ラブハラは冗談では済まされない可能性もある
ラブハラで裁判を起こす人はいませんが、恋愛や性関係に関するハラスメントは極めて悪質なハラスメントです。
ラブハラのような職場環境を悪化させるハラスメントは、うつ病などの健康被害にもつながるため事業主に措置義務があります。
第四条 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
引用元:労働安全衛生法
また、労働者が嫌がっているのにも関わらず職場で恋愛や性関係に関する言動を行うことは男女雇用機会均等法に違反する可能性もあるでしょう。
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第四条第四項及び第五項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第四項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。
引用元:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
ラブハラスメントを穏便に交わす方法
ラブハラスメントは加害者に悪気や悪意がないことが多いため、被害を訴えにくいものですよね。また、伝え方や言い方によっては二次被害によるセカンドハラスメントを受ける可能性もあります。
この項目では、ラブハラをなるべく穏便に交わすための方法をいくつかご紹介します。
きっぱり「嫌だ」と言ってしまう
ラブハラの加害者は悪気や悪意がないことが多いです。そのため、あなたが苦痛に感じていることを知らない可能性があります。
- 「そういう話には興味がないので、すみませんが…」
- 「本当にちょっと好きじゃないんです」
恋愛や性関係の話題には関わりたくない、興味がないことを名言することで、「この人にはそういう話題は振らないでおこう」と思わせることができます。
恋愛の価値観について具体的に示しておく
- 恋愛は仕事で一人前になってからと決めている
- 今は恋愛をする気になれない
上記のように恋愛に関して、なるべく具体的に明言しておくと周囲の人は口出しにくくなります。ただし、なかには「そうはいっても…」と自分の意見を押し通そうとする人もいるので、その場合は「嫌だ」ということをはっきり伝えましょう。
噂話には関わらない姿勢を貫く
ラブハラ加害者は、噂話が好きなことが多いです。「AさんとBさんが付き合っている」、「Cさんにはイケメンの彼氏がいる」など、他人の恋愛をゴシップ的に考えていることもあります。
噂話から入るラブハラは、自分も嫌な思いしかしない上に他のトラブルを招く恐れがあります。噂話には関わりたくない姿勢を貫くことで、ラブハラをはじめとするトラブルを回避できるばいがあります。
執拗なものは上司に相談する
ラブハラに対して、不快感を示してもハラスメントがおさまらない場合は、上司や社内相談窓口に相談しましょう。
ハラスメントは、会社側にも対処する義務があるため、ラブハラを受けているという事実を報告するつもりで相談することをおすすめします。
ラブハラスメントで悩んでいる方の対処方法
執拗なラブハラスメントによって憂鬱ない気持ちになり、業務や日常生活に支障をきたした場合は、ハラスメントとして解決を図ります。
ハラスメント問題は、一人で抱えこまないで周囲を巻き込んでいくことが重要です。
上司や社内相談窓口に相談する
ラブハラなどのハラスメントを解決させる際に重要なのは、会社にハラスメントの事実を報告・相談することです。会社側は労働者からハラスメントの相談を受けた際、対処する責任があります。
ハラスメントで悩んだ際は、一人で抱え込まず必ず相談することからはじめてください。
ハラスメントに対して差止要求書を送る
会社側がハラスメントに対して何も反応を示さない場合、ラブハラがおさまらない場合はハラスメント差止要求書などの書面を作成します。
ハラスメント差止要求書は、ハラスメントの事実を会社に報告して、立ち向かう姿勢を示すのに有効です。
悪質なものは労働基準監督署に相談する
悪質なラブハラは、男女雇用機会均等法などの労働法に違反する可能性があるため、労働基準監督署に相談することも可能です。
なお、労働基準監督署に相談する場合は、会社が所在する都道府県の最寄りが管轄になります。
関連リンク:厚生労働省|全国労働基準監督署の所在案内
ラブハラスメントはあまり考えすぎないことも大切
ラブハラスメントは、加害者の好意で行なっている可能性もあります。余計なお世話だと思いつつも、あまり考えすぎないことも大切です。
ただし、業務や日常生活に支障が出るようなハラスメントの場合は、早急に対処する必要があります。
この記事が、ラブハラスメントに悩む方にとって解決のヒントとなれば幸いです。