離婚に至る理由はいくつもあります。性格の不一致や浮気、不倫相手との不貞行為にDVやモラハラ、家庭環境の不和など、挙げればキリがありません。しかし、どんな理由であれ離婚を決意するに至るぐらいですので、当事者にしかわからないこともきっと多くあるはずです。
そこで今回は、離婚したい理由や裁判などで必要になる法的な離婚理由、そして離婚したいのにできない理由などを総合的に紹介していこうと思いますので、世の中の夫婦がどんな離婚理由を抱えているのか、見ていきましょう。
離婚したい理由や離婚に至る理由9選
まずは世の多くの夫婦が離婚する理由からご紹介していこうと思います。
浮気や不倫をされた
人は浮気をする生き物だと言われています。夫も妻も、パートナーとは違った相手と恋人のような時間を過ごしたい時があるものですが、不倫をされた方はたまりません。一昔前なら、浮気をするのは決まって男性という考えがありましたが、最近は妻の浮気も増えているようです。
家庭を全くかえりみない
夫は毎晩のように飲み歩き、休日は一人で外出しまったり、仕事ばかりで家事や子供の面倒を妻に押し付けてしまう夫や、妻がそうであるパターンもあり、離婚の理由としては多く挙げられるケースです。妻の場合は家事をせず、部屋を片付けられない、子どもにインスタント食品ばかり食べさせているなど、我慢の限界に達し離婚を決意するという場合もありますね。
浪費癖がひどい
夫婦ケンカの原因としては上位にあがるお金の問題は、離婚理由としてもとても多いケースです。趣味やギャンブル、交際費にお金を使いすぎる妻や夫の姿は、やはり見ているとストレスを感じるものではないでしょうか。いくら注意しても改善が見られないようであれば、離婚を決意するのが未来のためかもしれませんね。
親との同居に応じないから
長男や長女と結婚した場合、ゆくゆくは相手の親との同居もあり得ます。自分がそうであった場合、将来的に親との同居を考えていても、相手に全くその気がないと、「結婚当初は同居をすると言っていたのに、相手のご両親と折り合いが悪くなりその気が失せてしまった…」「結婚前に“親との同居はない”と嘘をつかれた」などのパターンも多く、離婚の理由になるケースは少なくありません。
生活費を渡さない
妻から離婚を告げる原因として多いのが、夫が生活費を渡さないという金銭的な問題もあります。浪費や浮気など様々な理由があるでしょうけど、夫婦には生活保持義務というものがあるため、夫や妻が子供に生活費を渡さない(妻にも)ことは法律では許されない行為としています。
子供への愛情が感じられない
子供へ愛情を注げない親も増えています。自分の子供なのにどうして大切に愛せないのか?そんな相手のことを考えるだけで幻滅し、子どもと心から安心して暮らせるよう、離婚を決意する方も多いようです。
精神的な暴力(モラハラ)
相手から言葉の暴力によって精神的なダメージを受けてしまい、離婚となるケースも近年では目立つ離婚理由になっています。当の本人はモラハラでストレスの解消をしている可能性もありますが、自分の行為がモラハラである自覚を持てず、離婚に発展する夫婦も多いようです。
性格の不一致
離婚の理由としては最も母数が多いがこの性格の不一致。恋人期間中ではわからなかったことが、一緒に生活をしているうちに考え方や価値観などの違いなどがはっきり見えてくるようです。食べ物の好みやちょっとした習慣、これだけは譲れなかった生活習慣など、性格が合わないと感じながら夫婦を続けていくことは困難だと考える夫婦は多いようですね。
男女別の離婚原因をランキング形式にしてみた
裁判所が出す司法統計によれば、近年離婚する理由や原因で多いのは以下のようなものになっているようです。
1位:性格の不一致(夫・妻共通)
夫側、妻側ともに離婚原因の1位はです。一緒に暮らしていれば、考え方が変化したり、これまで見えなかった側面を知って相手との関係に溝ができてしまうこともあります。
2位:異性関係(浮気):夫 / 暴力を振るう:妻
浮気や不倫といった性的な関係がある場合はもちろんですが、妻の動機として2位になったいわゆるDVは、夫婦関係破たんの原因である以前に犯罪行為にあたります。
3位:家族親族との仲が悪い:夫 / 生活費を渡さない:妻
一昔前は「嫁と姑問題」など、妻と夫の家族との問題が多かったのですが、近年では夫と妻家族との関係が問題になることが増加しているようです。また、今は共働きの夫婦も増加しているものの、やはり夫が家計を支えている場合が多いという事が伺えます。
4位:異常性格:夫 / モラハラ:妻
「異常性格」とは、特定のものに対して常軌を逸した執着をみせたり、極度のヒステリーを起こすことを言います。「モラハラ」は、ひどい暴言や常識の範囲を超える束縛などで、本質的にはDVと変わりません。
5位:モラハラ:夫 / 異性関係(浮気):妻
DVは夫から妻に対してのイメージが強いですが、夫からもDVとも言えるモラハラが多いようですね。妻の動機として「異性関係(浮気)」は5位という結果になりました。この結果を見る限り、浮気をしているのは妻の方が多いのかもしれませんね。
6位:浪費する:夫・妻共通
ギャンブル、遊興への散財など、どこまでが浪費に含まれるかはその家庭の経済状況にもよるかもしれませんが、生活を圧迫しているのが明らかであれば、ギャンブルや遊興でなくても浪費ということになるでしょう。
7位:セックスレス:夫 / 家庭を顧みない:妻
夫の動機としては、セックスを拒否されるケースが一般的のようです。性生活は、円満な夫婦の関係を続けていくためには重要なことであると考えられています。大抵は男の欲求の方がゆえの不調和かもしれませんが・・・「家庭を捨てて省みない」というのは、もう説明の必要はありませんよね?
8位:同居に応じない:夫 / 異常性格:妻
浮気相手と暮らすという理由でなくとも、妻が一方的な理由で家出をして戻らないという状況は同居義務違反ということになります。「異常性格」が上がる妻側の理由には、極度のマザコンなどの場合も含まれるようです。
9位:DV:夫 / 酒を飲み過ぎる:妻
妻が夫を引っ掻いたり、物を投げつけるなど、妻からのDVに悩む夫も少なからずいます。場合によってはキッチンから包丁が飛んでくるということもあるようです。妻の「酒を飲み過ぎる」は、毎日のように飲み歩いて帰宅、家計に負担を与えるほど飲むなどが該当します。
10位:家庭を捨てて省みない:夫 / 性的不調和:妻
家事の一切を放棄する、遊びまわり子どもの世話を全くしないなど。「性的不調和」は、3つの原因が存在し、
- 夫から性交渉を求められる回数が多い
- 子供が早く欲しいという意図での積極的な要求を夫に拒まれる
- 夫の特異な性的嗜好を強要された
というケースがあるようです。
参考:離婚原因ランキングトップ10から考える離婚前にすべきこと
裁判で離婚が認められる法的な理由5つ
次に、離婚したいという要求が協議離婚では認められず、離婚調停を起こしたものの不成立になった次の段階、つまり、裁判離婚においては下記の5つの理由が必要とされています。
不貞行為
配偶者が「自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結んだ」場合には、法的にも離婚できる可能性があります。ただし、夫婦仲がすでに破綻した場合に、不倫相手との不貞行為が始まった場合に限っては、裁判では離婚が認められない可能性もあります。
例えば・・・
- 夫(妻)が不倫をして、妻(夫)以外の女性と肉体関係を持った
- 見ず知らずの異性と一夜限りの関係を築いていた
悪意の遺棄
配偶者が正当な理由なく同居を拒む、夫婦生活に協力しない、同一程度の生活を保障しないといった場合には、離婚できる可能性があります。
例えば・・・
- 夫が妻を置き去りにして長期間生活費を送金しなかった
- あえて家族との共同生活を放棄し自宅を出て行った
3年以上の生死不明
3年以上、配偶者の生存が確認できない状態が続いている場合は離婚できる可能性があります。
強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと
配偶者の精神障害の程度が協力義務を果たせない場合は、離婚できる可能性があります。ただし、配偶者が誠意ある介護・看護をしてきた、離婚後の療養生活の保証などがないと離婚が難しい傾向にあります。
婚姻を継続し難い重大な事由
夫婦仲がすでに破綻しており、回復の見込みがない場合は離婚できる可能性があります。
例えば・・・
- 性格の不一致
- 勤労意欲の欠如
- 配偶者の怠惰
- 働かない
- 親族との不和
- 夫が妻と夫の親族との不和に無関心な
- 円満な夫婦関係の実現に努力する態度が見られない
- 暴行・虐待などのDVモラハラ
- 性交不能・性交拒否・性的異常
- 夫(妻)が継続的に性交渉を拒否
- 夫に性的異常がある
- アルコール中毒,薬物中毒,難病等
- 重度の身体障害が原因で夫婦仲が破綻している
- 過度な宗教活動
- 過度に宗教活動に専念した結果,夫婦仲が破綻した
- 犯罪行為・服役
- 家族の生活に困難をもたらした場合
などが挙げられますが、個別の事情によっても離婚ができるかどうかが決まり, 上記事情以外でも離婚が認められる場合があります。詳しい内容は、弁護士に相談することをお勧めします。
離婚したいのにできない6つの理由
別れるのは付き合う時よりも難しいと言われるように、離婚したいのにできない理由もあります。具体的にはどういったものがあるのか、ご紹介していきます。
相手が離婚に応じてくれない
結婚が一人ではできないように、離婚も一人でできる事ではありません。自分が離婚したいと望んでいても、相手が同意してくれなければ難しい事は多々あります。もし、相手が婚姻関係の継続を希望している場合、調停や裁判になるケースも考えられます。
その際は、相手の不倫、生活費を渡さないなど、結婚生活を続けて行く事が困難である事の証明が必要にようになります。それには時間もかかりますし、労力や裁判にかかる費用などを考えると、離婚を言い出せない人もいるのです。
経済的な不安
小さい子供がいたり、両親や義両親の介護をしているといった事情がある場合、なかなか離婚した後に働けない人もいます。そんな人は相手の収入に頼っているので、離婚を切り出せずにいます。特に、子供の親権が欲しいと望んでいるなら、経済的に自立できるか、子供を養っていけるのかが最大の焦点になります。
女性であればお金の面を考えると、なかなか離婚に踏み切れない人は多いのではないでしょうか。今現在の生活水準を保つためにかかるお金を、自分だけで稼ぐのはとても難しいことです。離婚後に一人で生きて行く事が困難な状況であれば離婚は難しいでしょう。
そんな場合は「母子家庭の手当て」などを参考にすると良いと思います。
単純に面倒くさい
結婚は勢いですることもできますが、親権や財産分与など、法的な手続きなどにかかる時間や精神的な労力は相当大きなものになります。子供をかかえた専業主婦の場合などは、暴力が離婚理由という以外は、その苦労を考えるだけで離婚に踏み切ることができません。
周りの目が気になる
いくら離婚件数が増えていると言っても、離婚自体は褒められた行為でないことは確かです。両親、親戚、友人には説明するのも恥ずかしいことだと思ます。また、離婚をしてしますのは自分に欠陥があると思われる不安を抱える方もいるでしょう。周りの人は家庭の内情までは分かりません。そういったことを気にしていると、離婚はしづらくなってしまいます。
子供のため
自分は離婚したくても、子供のことを思うと離婚に踏み切れない家庭もあります。配偶者と自分の間には血縁関係もなく、離婚すれば赤の他人ですが、子供にとっては父親であり母親です。子供につらい思いをさせてしまう可能性があるなら、自分が我慢すれば良いと思い、離婚ができずにいるのではないでしょうか。
子供がいる夫婦が離婚した場合に、一番に考えるべきことは子供への影響です。離婚に伴い家族の環境や通学環境が変化することは、子供にとって必ずしも良い影響を与えるものではありません。
覚えておいて欲しい事は、離婚しても全く影響を受けない子供はいないという事で、すぐに影響は出なくても、成長とともになんらかの形でその子の人生に影響を与えてくる事は多くなってきます。
離婚できないのは「離婚する勇気がないだけ
子供の為、家族の為、お金の為、○○の為・・・そんな離婚できない理由は、「離婚する勇気がない」ただの言い訳である可能性もあります。母子家庭や父子家庭が褒められたことではないのは間違いありません。
それでも、「仮面夫婦」が子供にとってどれだけ辛いことかというのは考えたことはあるでしょうか?
両親が離婚をする時に子供がしてほしかった事
- 離婚の理由なんかどうでもよい。どう責任をとるのか伝えてほしかった(当時6歳)
- 家族だから分かるはずという思いこみは捨ててほしいどんなことを考えていてどうしたいのか、子どもが何を考えているのか話し合ってほしかった(当時11歳)
- 子どもの生活に影響を及ぼさないように離婚する時期を考えて、その事情を分かりやすく説明してほしかった(当時15歳)
- どうして離婚したいかをきちんと説明してほしい(当時19歳)
- 住む場所や環境がどう変わるのかを説明して安心させてほしい(当時21歳)
離婚することの理由や、離婚して今後どうする予定なのか、ちゃんとした説明を望む声が多くなる結果となりました。また、自分の考えをちゃんと聞いてほしい、理解できるように説明してほしいという意見が総じて多く、「子どもが小さいから説明をしなくても良い」という考えはナンセンスであると思った方が良さそうですね。
あなたに婚姻生活破綻の理由があっても離婚できる
例えば、浮気をした妻が夫に離婚請求をする場合、夫婦関係破綻の原因が離婚をした側にあった場合、原則として離婚は認められませんが、下記の事情を総合的に判断し、離婚請求が認められる場合があります。
- 別居期間が長い
- 未成年の子供がいない
- 離婚しても配偶者が精神的・社会的。経済的に苛酷な状態にならない
- 離婚を認めても社会正義に反しない
ちなみに、夫と妻の双方に夫婦仲の破綻の原因があって、夫婦仲が破綻している場合には離婚請求は認められます。
離婚する為の手順
離婚には「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの手順があります。
協議離婚
離婚全体の90%を占める協議離婚。夫婦が離婚届を提出するだけで離婚が成立するため、最も簡単な離婚方法です。
調停離婚
協議離婚では離婚に至らなかった場合に用いられる離婚方法で、調停委員が仲介役として両者の主張を調整します。離婚調停の期間はだいたい半年ほどで、短いもので1ヶ月、長いもので1年以上になります。
大抵慰謝料の額などでもめている場合は多い為、下記の記事が参考になるかと思います。
裁判離婚
離婚調停でも離婚に至らない場合に行われる離婚方法。裁判では家庭裁判所が夫婦に判決を言い渡すため必ず結果が出ます。また、裁判離婚では弁護士に対する報酬など費用がかかることが一般的です。
まとめ
以上が離婚の理由としてあげられるものになります。
様々な理由がありましたが、できればあなたが今回の離婚理由に当てはまらずに、円満な家庭を継続して頂ければ幸いです。